世田谷一家殺害事件なぜ捕まらないのか?

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2000年12月30日の深夜から翌日31日の未明にかけ発生した世田谷一家殺害事件には、これまでに多くの捜査員が動員され、多くの費用が投入され、照合された指紋は5000万件以上、DNA資料は約130万件にも上るといわれている(参考:[世田谷一家殺害20年]<上>照合した指紋は5000万件、今なお増える犯人資料 読売新聞オンライン2020年12月12日 05:00配信)

一家4人を殺害した重大犯罪の解決にかける捜査員や関係者などの頑強な思いは必ず捜査を進展させるだろう。

今回は、犯人が逮捕されない理由や「解決の鍵」などについて考察してみよう。

「手に怪我をした男性」に関する過去の報道

世田谷一家殺害事件直後の2001年1月中の新聞報道などには、「手に怪我をした男性」に関する幾つかの記事が散見される。

「東京都世田谷区の会社員、宮沢みきおさん(四四)一家四人が、殺害され先月三十一日に見つかった事件で、宮沢さん宅に出入りしたことのある二十二歳の男性が手にけがをし、病院で治療を受けていたことが分かり、警視庁成城署捜査本部は十日にも、この男性から事情を聴く。宮沢さんらを惨殺した犯人は手にけがをした可能性が高く、現場に残されていた犯人のものとみられる血液はA型で、この男性の血液型と照合する。調べによると、この男性が都内の総合病院を訪れたのは今月三日。右手の親指と人さし指の間を切っていて、医師の治療を受けた。この日、都内の医療機関は正月休みだったが、男性が治療を受けた病院は救急の指定を受け、緊急の患者には対応していた。(後略)」

引用・参考:一家4人殺害 手にけがの男聴取 以前出入りの22歳 都内病院で3日に治療2001.01.10産経新聞

「東京都世田谷区の会社員宮沢みきおさん(44)一家四人殺害事件の警視庁成城署捜査本部の十五日までの調べで、右手に大けがをした男が今月三日に広島市内の病院を訪れて治療を受けようとしていたことが分かった。重傷と診断したこの病院が救急指定を受けている別の病院を紹介したが、男はその病院を訪れずにそのまま姿を消しており、同本部で事件との関連を調べている。(後略)」

参考・引用:世田谷・一家殺害 広島の病院に不審男 右手大けが 治療受けず姿消す2001.01.16 中日新聞

その後、上記の2人の「手に怪我をした男性」は、世田谷一家殺害事件とは無関係との報道があるが(参考:「韓国製、数種に絞り込み一家4人殺害犯人シューズ広島の男性は無関係2001.01.17中日新聞」及び※注)「『惨殺犯を追う』世田谷一家殺害事件1年(下)2001.12.29産経新聞」)、事件後直後から警察は都内及び広島県内など日本全国広範囲の医療機関へ捜査協力を要請していたことが読み取れる。

※注)「『惨殺犯を追う』世田谷一家殺害事件1年(下)2001.12.29産経新聞」の記事には、東武線「日光駅」で下車した「手に怪我をした男」が、始発駅の「浅草駅」から乗車したとの目撃情報がないため、一段ランクの下がる情報とも記している。

以下は参考情報 警視庁発表の犯人の特徴

年齢15歳から20歳代(引用:「世田谷一家4人殺害犯人は15~20歳代か」日本経済新聞2018年5月22日付)
血液型A型(出典:警視庁HPなど)
平成7(1995)年~平成11(1999)年の間の犯人の髪型遺留品のヒップバックに犯人のものと認められる約2.5センチ~1.5ミリの2本の頭髪があり、頭髪の色は黒または黒褐色である。「長さは約2.5センチメートルの頭髪は、黒色で、抜けおちたものではなく、切断されたものと認められます」「長さが約1.5ミリメートルの頭髪は、黒褐色で、両端がバリカンようのもので切断されたものと認められます」(引用:警視庁HP「犯人の頭髪は黒色又は黒褐色!!」更新日:2018年8月3日
ヒップバックは、平成7(1995)年~平成11(1999)年までの間に販売されていたといわれるため、少なくともこの4年間の一時期、犯人の髪型は全体または一部が5厘刈り(2ミリ以下)だったと推認される。
<世田谷一家殺害事件 なぜ捕まらないのか 参考資料・4>警視庁発表の犯人の年齢、血液型、毛髪の特徴

上記の警視庁公表の犯人は血液型A型の短髪(だった時期のある)15歳以上20歳代の男性である。

事件当時(2000年12月30日)の犯人の年齢を15歳と仮定すると5年前のヒップバックが販売されていた期間の最初の年である平成7(1995)年の頃、犯人は9,10歳だ。また、犯人の年齢を29歳と仮定するならば、5年前は24,5歳頃だ。

この黒または黒褐色の短い髪(1.5ミリ~2.5センチ)は何を意味するのか?犯人の嗜好か?それとも犯人が所属などした何らかの団体(学校など)のルールか?親族からの強制か?この遺留品の髪も犯人を推測するための有力な情報だといえる。

マフラーを追え

警視庁のHP「上祖師谷三丁目一家4人強盗殺人事件 マフラーはどこで製造、販売されたのか?更新日:2018年12月14日」によれば、平成30年5月以降の情報提供に犯人の遺留品と思しきアクリル製チェック柄(引用・参考:警視庁HP緑色地に赤、黒、オレンジ、濃緑色、長さ130センチメートル、幅30センチメートル)マフラーに関する「事件前に、中学校の指定制服販売店の景品でもらった」「事件前に、ガソリンスタンドの景品でもらった」等の情報がある。

素材がアクリル製の同マフラーは、事件前の犯人の生活状況を考察するうえで参考になる情報だ。

既に指摘したが、犯人の服装等の遺留品から「事件当時の世田谷一家殺害事件の犯人は学生、浪人生、無職を含む収入の少ない不安定な就労状況だった可能性が推測される(参考:本サイト記事「世田谷一家殺害事件 検証-4 犯人像-2」)。

もともと、犯人が使用していたと思われるチェック柄(格子柄)のマフラーは、80年代以降のウール製・カシミア製の海外有名ブランドの流行から始まり、90年代以降は中・高校生の間でも流行している。(特に有名な海外ブランド製のチェック柄マフラーは、「Vivienne Westwood(ヴィヴィアンウエストウッド)」「Burberry’s(バーバリーズ)」などだが、両ブランド製のチェック柄マフラーの値段は1万円以上でする。

前述の犯人遺留品ヒップバックの中から見つかった黒または黒褐色の短い髪(1.5ミリ~2.5センチ)が、犯人が所属などした何らかの団体(学校など)のルールからの強制だとするならば、犯人は世田谷一家殺害事件(2000年12月30日発生)当時または前年頃まで中高生だった可能性も考えられる。

犯人の通学先または卒業学校を考察する

犯人が「奥沢」駅から半径3キロメートル以内の城南地域に関係する日系人の子孫、被害者A氏の知人の親族、事件当時または事件の前年頃まで学生だと仮定した場合の犯人の通学関(中高)校、卒業(中高)校は、どこだろうか?

この点を考察するうえでの着眼点は、被害者A氏が高学歴を有し、英語圏の外資系法人に勤務していたということだろう。このことから、被害者A氏の知人関係には、英語などの外国語も堪能な高学歴の人物が多いと推察され、高収入を得ている(いた)可能性が高くなる。

ここからは、犯人の通学先または卒業学校を考察するための統計を確認してみよう。

格差社会、こどもの貧困問題などと同一線上に「教育格差」も問題がある。「教育格差」は、親(子の出身家庭)の社会経済的地位(Socio-economic Status:職業や世帯収入、両親の学歴、文化資本など)が、世帯内の子どもの学歴、学力などに影響を与える問題である。

以下は、内閣府が公表している「令和3年 子供の生活状況調査の分析 報告書」の44頁「2.1.6.進学期待・展望(1)子供の進学段階に関する希望・展望」の『保護者票問14.お子さんは将来、現実的に見てどの段階まで進学すると思いますか。』の問いに対するアンケート結果からの抜粋となり、両親の学歴が子どもの教育、進学に影響を与えることが推認される。

「(前略)また、等価世帯収入の水準が「中央値の2分の1未満」の場合に、母親・父親の学歴の状況別にみると、収入の水準が低い場合であっても、母親・父親の学歴の組み合わせが「父母のいずれも、大学またはそれ以上」の場合には、子供の進学段階に関する希望・展望について「大学またはそれ以上」の割合が76.5%で、他の場合と比べて高くなっている(後略)」

令和3年 子供の生活状況調査の分析 報告書

※等価世帯収入とは、世帯の年間収入を世帯の人数の平方根で割ったもの。

そう、事件当時の世田谷一家殺害事件の犯人もある程度の教育を受けた(受けている)人物と推察され、親族の関係先不動産所在地の城南地域から通学圏の都内または神奈川県地域のインターナショナルスクール(犯人が日系人子孫の帰国子女だと仮定すると英語など日本語以外の言語も日常的に使いこなす人物の可能性が推測される)、や経済的に恵まれた家庭の子供が通学する中学・高校等に関係していたことも想像できる。

世田谷一家殺害事件なぜ捕まらないのか?

非常に残忍で反社会性の強い世田谷一家殺害事件の犯人が他の事件に関係・関与する可能性の高さは容易に想像できるが、事件から20数年が経過した現在(2023年2月22日)も犯人逮捕の朗報は発表されていない。

冒頭に紹介した記事中にもあるが、警察は他の事件などで逮捕などした被疑者の指紋データやDNAデータと世田谷一家殺害事件に遺された犯人の指紋、DNAの照合を入念にしているだろう。そして、その数(照合指紋、照合DNA型)は、犯人が逮捕される日まで増え続けていくだろう。

事件現場である被害者A氏宅に指紋やDNA型を残しながら犯人は警察の捜査の手をすり抜けている。

なぜ、犯人は逮捕されないのか?犯人の逮捕に至っていない理由は、犯人が日系人の子孫であり、事件後に日本国内から出国しているからだと思われる。さらに、犯人が未成年者を含む比較的若い人物だとするならば、出国を手助けした者もいる(いた)かもしれない。 そして、異常で残虐な事件の犯人に自立と自律が困難なほどの精神疾患があるならば、現在も犯人の生活を支援している者(親族や政治思想、信条などの価値観を共有するグループなど)がいる可能性も考えられるだろう。

世田谷一家殺害事件の「解決の鍵」

警察は当然ながら、犯人の可能性が高い「手に怪我をした男性」「被害者宅に出入りしていた男性」を徹底的に捜査しているだろう。世田谷一家殺害事件が窃盗目的、強盗目的の犯罪の可能性も視野に入れ、同種事件の被疑者や何らかの容疑で逮捕された被疑者の指紋やDNA型を世田谷一家殺害事件の犯人の指紋やDNA型と徹底的に照合しているだろう。

なお、他の容疑で逮捕された容疑者に対し任意とは名ばかりの半強制的なDNA型の採取と保存は(違憲・違法などの)問題もある。

では、なぜ、「手に怪我をした男性」「被害者宅に出入りしていた男性」の割り出し捜査から犯人の逮捕に至っていないのか?なぜ、警察が集める指紋やDNA型から犯人を割り出せないのか?これらの疑問の答えは、「犯人は想定よりも軽傷だった」「犯人は医療機関で治療しなかった」「警察が把握している被害者宅に出入りしていた人物群のなかに犯人はいない」「世田谷一家殺害事件の前後の他の事件に関与していない」「犯人は既に死亡している」など幾つか想定できるが、本サイトは世田谷一家殺害事件の犯人を日系人の子孫だと推察している。

つまり、生まれ育ちなど含め主たる生活の拠点は海外にある(あった)が、世田谷一家殺害事件の少なくとも1年前には、親族が所有する(犯人の遺留品ユニクロ・エアテックジャケットのポケットからは飼育されていたスズメよりも小さな種類の小鳥の糞(ふん)が見つかっている:参考「遺留品の薬剤、染色用 警視庁が成分分析 世田谷一家殺害事件 朝日新聞 2009年12月14日付」。この小鳥の糞(ふん)が犯人の生活拠点由来だと仮定するならば、犯人の生活拠点は小鳥などの飼育可能な住居となり、ペットなどの飼育が禁止されている公団や賃貸住宅以外の住宅――所有物件の可能性が高いと考えることができる)城南地域のマンション等に出入り(生活等)していたと本サイトは推測する。

そして、世田谷一家殺害事件後は海外の生活拠点に戻った可能性が高いと推測するが、犯人の親族(三親等の範囲)は、現在も日本にいると考えられる。

さらに、その親族は被害者A氏と関係のある人物だと推測され、その人物こそ世田谷一家殺害事件の「解決の鍵」を握る人物である。

では、犯人が海外で生活していると仮定した場合、犯人を特定する手段はあるのか?犯人を日本から移民の子孫と仮定するならば、犯人の親族は日本国内にもいるだろう。親族と思われる人物を特定し、その人物のDNA型データと世田谷一家殺害事件の現場に残された犯人のDNA型データの同定性の確認ができるのなら犯人の特定に繋がるかもしれない。また、米国FBIのように家系図サイトを利用した捜査手法も有効な手段かもしれない。ただし、それらの捜査手法を使うには超えればならない高い法的および倫理的なハードルがある(参考:本サイト記事「DNA捜査とプライバシー保護と冤罪証明ための利用」)。

国家が国民のDNAをデータ化し保存することから考えられる多くの懸念や問題点と未解決事件解決のための国民のDNAの利用の問題。国家にどのような権限を与えるか?DNA捜査が認められるなら、それはどのような事件なのか?誰が許可を出すのか?裁判所か?科学技術の進歩と倫理、国家と個人の関係の深い議論を進める必要があるだろう。

世田谷一家殺害事件などの未解決事件のもう一つの「解決の鍵」は、DNA捜査(積極的な利用の是非、運用と範囲などの法制化など)の国民の関心と議論なのかもしれない。

まとめ

冤罪事件が社会や社会制度、国民感情から噴き出した膿だとするならば、未解決事件は社会に刺さった棘だともいわれる。

社会に刺さったままの棘は、その患部を化膿させ、社会から冤罪事件という膿を噴出させることもある。

「膿」と「棘」を根本治療する最良の手段は、未解決事件の解決だろう。世田谷一家殺害事件の犯人に限らず、犯人は「時代」のなかで生まれ、育ち、生活していた筈だ。過去の犯罪が未解決だということは、その「時代」に穴が開いているともいえるだろう。

世田谷一家殺害事件の早期解決を切に願う。


◆参考文献
一家4人殺害 手にけがの男聴取 以前出入りの22歳 都内病院で3日に治療 産経新聞2001年1月10日付
世田谷・一家殺害 広島の病院に不審男 右手大けが 治療受けず姿消す 中日新聞2001年1月16日付
『惨殺犯を追う』世田谷一家殺害事件1年(下)産経新聞2001年12月29日付
遺留品の薬剤、染色用 警視庁が成分分析 世田谷一家殺害事件 朝日新聞2009年12月14日付


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Jean-Baptiste Roquentin運営者

投稿者プロフィール

Jean-Baptiste RoquentinはAlbert Camus(1913年11月7日-1960年1月4日)の名作『転落(La Chute)』(1956年)とJean-Paul Sartre(1905年6月21日-1980年4月15日)の名作『嘔吐(La Nausée)』(1938年)に登場するそれぞれの主人公の名前からです。
Jean-Baptiste には洗礼者ヨハネ、Roquentinには退役軍人の意味があるそうです。
小さな法人の代表。小さなNPO法人の監事。
分析、調査、メディア、社会学、政治思想、文学、歴史、サブカルなど。

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