岸田内閣 新しい資本主義を分析する

新しい資本主義を分析する  2021/10/25

「新しい資本主義」は、,2021年9月29日に実施された自由民主党総裁選挙により第27代総裁に選出され、その後の同年10月4日、第100代内閣総理大臣に指名された岸田総理(2021年10月25日 現在)の「総裁選」からの目玉政策であるが現時点(2021年10月25日)では不明な点が非常に多い。

岸田総理は自民党の保守本流ともいわれる宏池会から故・宮澤喜一元総理(1991年11月5日~1993年8月9日)以来、約30年ぶりの総理総裁である。

自民党「宏池会」は、高度経済成長を牽引したと言っても過言ではない。

「所得倍増計画」の故・池田勇人元総理をはじめ、所謂、自民党内における保守本流のハト派、(日本型の社会民主主義的)リベラル派として党内および国政に大きな影響力を持っていたが、バブル崩壊の後始末が始まり「失われた10-30年」の入口の頃からは、規制緩和、緊縮財政、小さな政府、米国の新自由主義的な政策を掲げる「清和会」にその座を奪われ(2000年11月の「加藤の乱」が決定的な出来事だったのかもしれない)約30年の年月が過ぎていた。

そして、本年9月の自民党総裁選には岸田氏、高市氏、河野氏、野田氏の4名が立候補した。

その4人の中で最も有力視されていた岸田氏が掲げた政策が「新しい資本主義」と「令和の所得倍増」という、ある意味「宏池会」らしい政策であり、この政策が岸田内閣の基本政策になることは言うまでもない。

没落した中間層を取り戻するという「新しい資本主義」「令和の所得倍増計画」。

デフレ経済からの脱却、「失われた時代」からの脱出は可能なのだろうか?

そして、もう一度、我々は問わないといけないのかもしれない。

会社は誰もモノか?株主のモノか?経営者のモノか?従業員のモノか?それら全てのステークホルダーのモノか?

2021年10月15日、「新しい資本主義実現本部の設置」が閣議決定された。

内閣官房のホームページには、その設置目的に以下の内容が記されている。

「成長と分配の好循環」と「コロナ後の新しい社会の開拓」をコンセプトとした新しい資本主義を実現していくため、内閣に、新しい資本主義実現本部(以下「本部」という。)を設置する。

また、2021年6月に設立された「新たな資本主義を創る議員連盟」の設立趣旨には以下の設立目的が記されている。

近年、国内外において、成長の鈍化、格差拡大、一国主義・排他主義の台頭、国家独占経済の隆盛など、「資本主義」の価値が揺らいでいる。
要因の一つが「株主」資本最優先にある。
資本主義の根幹である「資本」は、本来、「固定」資本、「事業」資本、「人的」資本など、多種多様であるにもかかわらず、近年、苛烈な競争や利益第一主義の下で、「金融」資本とりわけ「株主」資本に焦点があたっている。その結果、適切な「分配」政策の欠如が起こっている。
従業員、顧客、取引先、地域社会といった多様な主体へ適切な分配がなされず、「人」や「社会」を豊かにする資本主義の役割と寛容性が失われている。
供給サイドにおけるイノベーションの重要性は論を俟たないが、同時に、イノベーションによってもたらせた利益が適切に分配され、消費力・購買力という需要サイドの強化が実現しなければ、持続的な経済成長は実現できない。
更に、資本主義の対象が 20 世紀型の「モノ」から「コト」へ、情報・データ等にシフトすることで、資本主義は一層近視眼化するとともに集中・独占が起こりやすくなっている。そして、利益や効率・合理性一辺倒の資本主義は、少数意見の尊重やプロセス・説明責任の重視といった民主主義の重要な側面の希薄化にも間接的に繋がっている。
こうした現状を打破するため、我々は、新たな資本主義の形として、「人的」資本を大切にする「人財資本主義」、更に多種多様な主体に寛容な「全員参加資本主義」を実現しなければならない。何よりも、分配政策の強化が不可欠ある。企業利益のより適切な分配、大企業と中小企業との間の分配の適正化、企業内での人的資本投資の促進、教育費や住宅費負担軽減のための支援、子育て・家庭支援の強化などを図らねばならない。また、非正規雇用の増加と賃金の伸び悩みが起こる中で、働き方改革やセーフィテネットの見直しが必要である。同時に長期的視点に立った経営が必要である。いざというときに従業員や家族、地域社会を守ることができる資本主義でなければならない。
また、資本主義本来の多様性や寛容性を確保するため、女性活躍政策などをより一層推進するとともに、情報やデータの独占に対する適切な競争政策の実現が求められる。
本議員連盟は、こうした大局的問題意識に立ち、新たな資本主義の構築を目指す。

2021年10月31日(日)の第49回衆議院議員総選挙に向けた各党の経済政策に大きな違いはない(憲法や安全保障問題では大きな違いがあるが)

各党とも新自由主義的な価値観からの脱出と再分配に重きを置いている。

現時点で岸田内閣率いる「自民党」の「新しい資本主義」の詳細は不明である。

不明ではあるが、反対派、賛成派ともに既にSNSなどを使い意見を表明している。

賛成派の属性などは想像するに容易でもあるが(なぜならこの政策は再分配による中間層の復活を目的とするから)、反対派はどのような属性なのだろうか?確認されるこの政策の「目的」や「趣旨」などから想像される反対派は、そこに社会主義的な政策を感じる者だろうか?小さな政府を好むリバタリアン的な政治思想の持ち主だろうか?新自由主義の否定と再分配を重視してきた野党支持者であろうか?それらが混在するのではないか?等々と推察されたため、SNS解析ツール(オープンソース)「HOAXY」を使用して「新しい資本主義」という言葉のマッピングを行った。なお、同ツールは過去7日間の上位1000アカウントが表示される(本結果は2021年10月25日19時47分時点のものである)。

SNS(Twitter)解析ツール(オープンソース)「HOAXY」を使用した「新しい自由主義」という言葉を含むツイート、リツイートをしていたアカウントのマッピング

  • 赤丸内の中心は左翼系弁護士のアカウント
  • 黒丸内の中心は某有名マルクス経済学者のアカウント
  • 青丸内の中心は大阪維新の会代表の代表、吉村洋文大阪府知事のアカウント
  • 緑色内の中心は減税派の匿名アカウント

上記の4つの丸内はマッピング上にある大きな円の中心(拡散の中心アカウント)とそのアカウントをリツートなどしたアカウント(広がり)示しており、「新しい資本主義」という言葉は、左翼系弁護士のアカウント」「某有名マルクス経済学者のアカウント」「大阪維新の会代表のアカウント」「減税派の匿名アカウント」などが中心となり拡散されていることがわかる。

なお、上記4つのアカウントのツイート内容やそれをリツイートしたアカウントのツイート内容については、各個人の思想信条の自由の尊重ため省略し、その内容についての論評、意見なども本記事の主旨とは異なるため記さないこととした。

いずれにせよ、2021年10月31日(日)の第49回衆議院議員総選挙まで1週間を切った(現在、2021年10月25日)。

バブル崩壊から失われた10-30年を経て、新しい資本主義の時代は来るのか?その「新しい資本主義」とはどのような具体的政策なのか?

今回、誰が失われた時代に対するアンチテーゼ的な意味合いを持ちそうな「新しい資本主義」という言葉を話題にしているのかを探ってみた。ただし、あくまでもTwitterを利用している、かつ、2021年10月25日から1週間前の結果であり、一つの限られた空間と時間での検証である。

「新しい資本主義」は人口に膾炙しているだろう。

目が離せない。


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Jean-Baptiste Roquentin運営者

投稿者プロフィール

Jean-Baptiste RoquentinはAlbert Camus(1913年11月7日-1960年1月4日)の名作『転落(La Chute)』(1956年)とJean-Paul Sartre(1905年6月21日-1980年4月15日)の名作『嘔吐(La Nausée)』(1938年)に登場するそれぞれの主人公の名前からです。
Jean-Baptiste には洗礼者ヨハネ、Roquentinには退役軍人の意味があるそうです。
小さな法人の代表。小さなNPO法人の監事。
分析、調査、メディア、社会学、政治思想、文学、歴史、サブカルなど。

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