2022年中の未成年者に対するその他の事件
ここからは、2022年中に報道された女性容疑者による未成年者への性暴力事件を整理などし、女性容疑者による未成年者への性暴力を考察していこう。
女性が加害者となる事件例 神奈川県青少年保護育成条例違反(淫行)事件
2022年8月31日、事件当時の2022年5月当時に14歳だった男子中学生に対する神奈川県青少年保護育成条例違反(淫行)の容疑で42歳の女性N・M容疑者が逮捕された。
また、N容疑者は、約2年前の2020年6月16日、事件当時14歳だった男子中学生に対する神奈川県青少年保護育成条例違反(淫行)の容疑で逮捕されていた。
なお、2020年6月16日の逮捕時のN・M容疑者の氏名は、H・Mであり、同事件の逮捕時の住所は「神奈川県横浜市南区南太田3丁目」と報道されていたため、事件後に離婚、転出などがあったと推測される。
女性が「青少年保護育成条例違反」の被疑者として2回(2020年と2022年)逮捕された事件。
統計から性犯罪は再犯率が高い傾向にある。しかし、女性が「青少年保護育成条例違反」の容疑で「二回目の逮捕」は非常に珍しいケースだと思われる。
なお、同容疑者の前回(2020年6月16日)逮捕の事件に関するその後の情報(起訴や裁判に関する報道)が確認できないため、前回の事件で同容疑者は、不起訴処分となった可能性も考えられ、この点は留意、注意が必要である。
女性が被疑者として逮捕された青少年保護育成条例違反事件
前述のとおり、女性が「青少年保護育成条例違反」の容疑で逮捕されるケースは非常に珍しいと思われる。
ここからは、女性が「青少年保護育成条例違反」の容疑で逮捕されケースとそこから読み取れる傾向や共通項など探ってみたいと思う。
確認された2000年から2022年9月1日までの該当事件
以下は、過去の報道から確認された2000年から2022年9月1日までの女性が被疑者として逮捕された青少年保護育成条例違反事件である。
事件年月 | 事件発生場所 | 被疑者女性の年齢/職業 | 被害者男児の年齢 | |
1 | 2001年8月 | 広島県/岡山県 | 27歳(ホステス) | 15歳 |
2 | 2003年4月 | 北海道 | 30歳(無職) | 16歳 |
3 | 2004年11月 | 愛知県 | 21歳(無職) | 16歳 |
4 | 2008年7月 | 愛知県 | 34歳(無職) | 16歳 |
5 | 2020年6月 | 神奈川県 | 40歳(会社員) | 14歳 |
6 | 2022年8月 | 神奈川県 | 42歳(無職) | 14歳 |
なお、上記5、6は、N・M(H・M)容疑者の事件である。
また、2017年7月に「強制性交罪」が施行されたことにより、男性が加害者/女性は被害者の構成要件が撤廃されたため、13歳未満の男児との性交したの容疑(強制性交の罪)で、香川県内の22歳の女が逮捕され、2019年9月の裁判で、同女性被告に懲役3年執行猶予5年(求刑懲役5年)が言い渡されている(参考:男児と性交容疑、22歳の女を逮捕 スマホで知り合う 朝日新聞 2019年1月24日付、男児と強制性交した女に有罪判決 朝日新聞 2019年9月5日付)
上記6つの事件の女性被疑者(容疑者)の平均年齢は、32歳であり、被害者男児の平均年齢は、15歳である。
さらに、被疑者の職業は無職が多く、金銭が介在することが多い男性加害者と女児の関係(児童買春など)とは傾向が違うようだ。また、3(2004年の愛知県の事件)と5(N・M(H・M)容疑者の1回目の逮捕事件)の当時の報道によれば、加害者の自宅が児童の「たまり場」になっていたとの報道が確認される(参考:少年にみだらな行為をした女逮捕 中日新聞 2004年11月14日付、中学生にみだらな行為の疑いで女逮捕 東京新聞 2020年6月17日付)
2000年以降の確認された女性が被疑者として逮捕された青少年保護育成条例違反事件の件数が非常に少ないため、同容疑で逮捕された女性の傾向や事件の背景などの詳細には不明点が多いが、2つの事件で加害者の自宅が児童の「たまり場」になっていたことがわかる。
大人のいる「たまり場」には居場所のない児童の「心許せる場所」のイメージや少年・少女の気持ちを理解し相談相手などになる面倒見の良い「大人がいる場所」のイメージもあるが――その「たまり場」が犯罪の場所になることもある。
そして、青少年保護育成条例違反事件で2度目の逮捕となったN・M(H・M)容疑者には、今後、同様の事件を起こさぬよう更正のためのプログラムが必要だろう。
女性教師などが加害者の生徒等への児童福祉法違反などの事件
2022(令和4)年9月7日、年齢30歳の特別支援学校の女性教師が元教え子の男子生徒(年齢不明)に対する淫行(児童福祉法違反)で懲戒処分の発表があった。なお、同女性教師はは2022(令和4)年3月に同容疑逮捕され、同月25日には、東京地検に児童福祉法違反罪で起訴されていた。
教え子だった男子生徒呼び出し、女性教諭が車内でみだらな行為…「好意はなかったが自分の責任」 東京都教育委員会は7日、教え子だった男子生徒にみだらな行為をしたとして、特別支援学校の女性教諭(30)を懲戒免職(中略)発表によると、女性教諭は2020年12月、都内の商業施設に止めた車の中で、以前担任を務めていた男子生徒とみだらな行為をした。進路相談に乗るとして生徒を呼び出し、ドライブをしていた。女性教諭は都教委の調査に「好意はなかったが、自分の責任だ」と話しているという(後略)
読売新聞 2022年9月8日 12:42配信
女性教師・教員・教諭による教え子、元教え子などの未成年者に対する児童福祉法違反(わいせつ事件)も比較的少ないケースだが、教師という立場の利用や特別支援学校の教師の事件ということに悪質性を感じる。
近年の主な同種事案/事件(女性教師が加害者と教え子などが被害者の事件)を過去の報道から抜粋した。
発生年 | 事件概要 |
2008年 | 沖縄県教育委員会発表 中学校の35歳の女性教師が男子生徒に淫行。 なお、その後、県青少年保護育成条例違反(深夜外出の制限)の容疑で起訴猶予処分。 |
2016年 | 沖縄県教育委員会発表 40代の女性教師が男子高校生に淫行。 |
2018年 | 岐阜県教育委員会発表 中学校の女性教師が元教え子に淫行。 なお、その後、県青少年健全育成条例違反の容疑で起訴猶予処分。 |
男性教師が加害者、女児生徒が被害者となる事件は多いが、女性教師が加害者、男児児童が被害者の事件も――当然だが――あり得る。
文科省や各都道府県の教育委員会は、児童の被害、生徒の被害を「根絶」することを目標に掲げているらしい。これからも摘発は続くだろう。
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