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映画『モンスター』解説~作品が描き出す、女性シリアルキラーの背景にあるものとは?~

ご注意:この記事には、映画『モンスター』のネタバレが含まれています。

殺人犯と普通の人。その垣根はどこにあるのだろうか。

映画『モンスター』は、実在のシリアルキラーの女性と、彼女が起こした事件を元にした作品である。非常に見ごたえがあり、特に、シャーリーズ・セロンの名演技は必見だ。

しかし、今作を鑑賞後、どうしようもない後味の悪さを感じる人は多いはずだ。そしてその原因は、主人公(及び実在の犯人)が置かれてきた環境にあるだろう。

この記事では映画を基本にしながら、シリアルキラーとなった女性の背景を探っていきたい。

映画『モンスター』の作品概要

『モンスター』は2003年に公開された映画作品である。実在するシリアルキラー(連続殺人犯)アイリーン・ウォーノスと、彼女が起こした事件をモデルとして作られた。

監督は『ワンダーウーマン』のパティ・ジェンキンス。今作が長編映画のデビュー作であり、脚本も兼任している。犯罪を描いた映画ではあるが、女性ならではの目線が作品に生かされているといえるだろう。

主演を務めるのは、美貌で知られる俳優シャーリーズ・セロンだ。

映画『モンスター』チラシ表面
映画『モンスター』チラシ裏面

今作では、彼女の持ち前の美しさを封印し、凄まじい役作りで「娼婦からシリアルキラーに至る様」を演じ切っている。

あらすじ

子供の時から娼婦として生計を立てていたアイリーンは、行き詰っていた。娼婦としては年を取ってしまい、思うように客を取ることができないからだ。生きることに疲れた彼女は、所持金を全て使い切ってから死のうとバーに入った。

そのバーで、アイリーンはセルビーという若い女性と出会う。セルビーはレズビアンであり、家族に「普通であること」を強制されていた。生きることに苦しさを感じる2人は、すぐに意気投合し、次第に恋愛関係へと発展していった。

しかし、セルビーが居候している家の家族は、娼婦である彼女のことを認めない。そのため、アイリーンはセルビーと共に、他の町に移り住む決心をする。

ある日、アイリーンはセルビーと過ごす一夜のために、路上で客引きをしていた。ようやく見つかった客は暴力男で、アイリーンはレイプされてしまう。アイリーンは身を守るために、男の拳銃で彼を射殺する。これが、彼女の初めての殺人だった。 アイリーンは男の車を奪い、ケガを隠し、セルビーに会いに行く。そしてセルビーを説得し、2人で旅に出ることになった。

モデルになったアイリーン・ウォーノスとは?

今作のモデルとなった実在の人物、アイリーン・ウォーノスについて、簡単に触れていきたい。

アイリーンは、1989年から90年にかけて、7人の男性を殺害した人物である。殺害した男性からは金品を奪い、死体は放置。後に、質屋に売りに出された被害者の物品からアイリーンの指紋が検出され、逮捕のきっかけとなった。

セルビーにもモデルとなった女性がいる。2人は確かに恋人となったが、その関係は一時的なもので、後年は親友同士になっていたようだ。

今作は、アイリーンとセルビーの関係を含め、完全なノンフィクションではない。しかし、アイリーン・ウォーノスという人物の生涯を知る上で欠かすことのできない作品だと言えるだろう。

「愛」だとしても、どこか歪んだアイリーンとセルビーの関係

※ここから先で語っていくのは、特に注釈がない限り、シリアルキラーであるアイリーン・ウォーノスではなく、映画『モンスター』の主人公であるアイリーンについてである。

今作は、アイリーンが犯した殺人は勿論として、彼女とセルビーの関係を描き出すことに重点が置かれている。一度見れば、2人が惹かれ合う様や、すれ違いの様子、アイリーンがセルビーに向ける気持ちなどが、丹念に描かれていることが分かるだろう。

しかし、今作を見続ける内に、2人の関係性が少しおかしいことに気が付くはずだ。確かに「愛」ではあるのだが、どこかしら歪んでいるのだ。

どこが歪んでいるのだろうか。じっくり考えていくと、アイリーンからセルビーに向ける感情と、セルビーからアイリーンに向ける感情にずれがあることが分かる。

アイリーンから見ていこう。

アイリーンはセルビーに会うまで、人を愛したことが無い(実際のアイリーンもまた、人間を憎んでいると供述している)。男はあくまでも、金銭を媒介とした客なのである。唯一の理解者としてトムと言う男性がいるものの、そこには友人以上の感情は無いだろう。

しかし、セルビーと出会うことでアイリーンは変わった。自分蔑むことの無いセルビーを、彼女は本気で愛したのだ。

アイリーンは元々、男性に良い印象がない。襲われた経験もある上、娼婦としても傷つけられ続けたからだ。その傾向は、セルビーと愛し合うようになってから強くなっていった。彼女が男を殺して金品を取ったのは、娼婦という職業の都合もあるだろうが、「男性嫌悪」が強く表れた結果なのかもしれない。

しかし、セルビーと過ごしているときのアイリーンは「普通の女性」としては生きられない。

セルビーはまだ若く、ケガをしていて、アイリーンにとっては庇護する対象に見えるからだ。アイリーンは彼女を何とかして養わなくてはならず、語弊を承知で言えば、「男性的」に接しているように思える。セルビーに執着すると同時に、少しばかり支配的なのだ。

セルビーを見送るアイリーンの涙や、別れた後の彼女の行動を見れば、セルビーの事を深く愛していたことは疑いようがない。しかし、アイリーンの愛情表現はどうしても歪なのだ。

次に、セルビーを見てみよう。

セルビーは、同性愛者を普通ではないとみなし、治療させようとする家族に悩む若い女性だ。ゲイバーに来たアイリーンに惹かれ、彼女が誘ったことで2人の関係は始まった。

セルビーは一見、生き辛さを抱える普通の女性に思える。見方によれば、アイリーンにそそのかされた被害者としても考えられるだろう。しかし、本当にそうなのだろうか。

セルビーの言動を見ていくと、人任せで、責任を取ろうとしない性格が見える。娼婦から足を洗おうとして失敗するアイリーンを罵ったり、家族の言う「普通」に反発していたのにも関わらず、「普通の生活」が送りたいと言ったりする。そんな彼女を表現するセリフは「私は何も選んでいない」という言葉だ。

アイリーンは殺人を犯した。それは確かに彼女の罪で、彼女が償うべきものだ。しかし、少なからずセルビーの存在が影響している。

セルビーはアイリーンに頼るばかりで、生活を保つ努力をしようとしない(ごく一部に働く意思を見せてはいるが、ギプスを叩きつけるなど止めざるを得ない状況にある)。こうしてアイリーンの庇護を受けているにも関わらず、彼女から受ける「支配」には反発するのだ。

セルビーがアイリーンに向ける感情は何なのだろうか。最初の頃は、確かに愛情があったのだろう。しかし、後半は愛情というよりも惰性が勝っていたのかもしれない。

お互いがお互いに愛情を抱き、平等に思いやりを持った時に、良い関係が生まれるはずだ。しかし、アイリーンとセルビーにはそれができなかった。だからこそ、歪な関係が生まれたのだろう。

「モンスター」という言葉が意味するものとは?

今作のタイトルである「モンスター」という言葉。これは何を意味するのだろうか。

普通に考えれば、数多くの人を殺したアイリーンその人を指すように思える。事実、彼女がしたことは常軌を逸しており、モンスター/怪物と言われても仕方ないだろう。

今作では、アイリーンの置かれた境遇が事細かに描かれている。金に困っており、まともな家に住むことができない状況。娼婦としてもあまり売れず、客は普通ではない変態だらけ。かなり過酷な環境である。

ここまで堕ちてしまうと、這い上がることは難しい。アイリーンは生まれついてのモンスターなどではなく、成育歴と環境が彼女の怪物性を育てたのだ。

そして何より、アイリーンの客となる男性は、より怪物的だ。「娼婦だから」といって彼女を見下し、暴力を振るうことも厭わない。アイリーンの存在で性欲を解消しようとしているのにも関わらず、「娼婦を使う」自分は娼婦よりも高い位置にあると信じて疑わない。 さて、本当の怪物はどちらなのだろうか。

まとめ

シャーリーズ・セロンが実在のシリアルキラーを演じた映画『モンスター』について語ってきた。

今作は、アイリーン・ウォーノスについて扱ったものの中でも有名だ。俳優それぞれの演技は素晴らしく、ストーリー的にも、伝記映画&犯罪映画としても一見の価値がある作品である。クライムサスペンスが嫌いでなければ、観賞することをおすすめしたい。

また、今作は特に女性に見て欲しい作品である。自分がアイリーンの立場に立ったらどうなるのか。苦しいながらも考えてみて欲しい。 鑑賞後は、少し気分が落ち込むかもしれない。

しかし、今作で描かれる問題は、これからも考え続ける必要があるものなのである。


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オオノギガリ

ココナラをメインに活動中のWebライターです。2017年より、クラウドソーシング上でwebライターとして活動しています。文章を読んで、書く。この行為が大好きで、本業にするため日々精進しています。〈得意分野〉映画解説・書評(主に、近現代小説:和洋問わず)・子育て記事・歴史解説記事etc……