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横山ゆかりちゃん誘拐容疑事件(太田市パチンコ店女児失踪事件)

横山ゆかりちゃん誘拐容疑事件太田市パチンコ店女児失踪事件)概要

1996年7月7日(日曜日)、群馬県大泉町に住むYさん(当時29歳)と家族(妻M子さん・同30歳、長女ゆかりちゃん・同4歳、次女・同生後8ヶ月)は、自宅から2kmほどの距離にある群馬県太田市のパチンコ店、「パーラー・パチトピア」(2022年現在は別名のスロット店として営業)を車で訪れた。本来はデパートへのお出掛けだったというが、「七夕感謝デー」の広告ハガキが来ていた事を思い出し、予定を変更したという。

午前10時半頃、入店した一家は景品コーナーに立ち寄り、ショーケースの中に大きな花火セットを見つけたYさんは、花火が好きだったゆかりちゃんに「取ってあげる」と約束し、ゆかりちゃんは大喜びしたという。

Yさんは目ぼしいパチンコ台を選び、次女を背負ったM子さんはその一列違いの台を選んだ。ゆかりちゃんは店内を散策、店舗入り口付近の長椅子に座る、両親に話しかける等して遊び始めた。

2022年現在の価値観では眉を顰めたくなる様な光景ではあるが、当時としても決して褒められた行いではないとは言え、特別珍しいものでもなかった。事件の公開捜査を報じる1996年7月10日の上毛新聞による記事でも、日曜日は店内で子供を遊ばせて遊戯する家族連れが多い事、親が遊戯を終えるのを待っていると思しき子供が7月7日当日にも3、4人路上にいたという近隣住民からの話が載っている。

この事件を含むパチンコ店からの幼児連れ去り事件、駐車場での車内放置による熱中症死等の悲劇が多発した事から、遊技場内外での子供への危険が次第に論じられるようになり、店舗への未成年者入場自体を禁止する2006年の風営法改正、イメージダウンを危惧した業界団体等による、子供の車内放置に対する注意喚起キャンペーンがあり、これにより日本社会にも児童虐待であるネグレクトについての周知と理解が進み、現在に至っている。

正午頃、M子さんは駐車場に置いた車の中に戻り、昼食として店内で購入したお弁当をゆかりちゃんに食べさせたが、ゆかりちゃんはまだ遊びたい気持ちの方が勝ったのか、それとも、ひとり遊びに飽きてしまい少々母親の気を引きたくなったのか、大部分を残してしまった。

恐らく13時20分頃、遊戯に戻っていたM子さんの元へ、やはりお腹が空いてしまったのであろう、ゆかりちゃんはお弁当が食べたいとやって来た。M子さんはゆかりちゃんを店舗入り口付近の長椅子に座らせ、お弁当の残りを手渡した。

その後、再び遊戯に戻ったM子さんの側に来たゆかりちゃんは言ったという。

「●●●のおじちゃんがいるよ」

(00年代の資料では、●●●の部分は店内の騒音にかき消され、母親の耳には届かなかったとあるが、比較的新しい資料<「新潮45」2016年8月号>には、母親の耳元で「優しいおじちゃんがいるよ」と囁いたとある)

「おじちゃん」という単語を聞き取ったM子さんは、ついていかないように言葉をかけたという。(かけた具体的な言葉については「絶対について行ってはダメよ」「ついていっちゃだめよ」「ちゃんと座っていてね」と、こちらも資料によりブレがある)

しかし、いずれにせよM子さんが「おじちゃん」の正体を確かめることはなかった。

とはいえ、内心警戒はしていたのだろう。ゆかりちゃんの姿が店内にない事にM子さんが気づいたのは13時50分頃。13時40分頃には、父親Yさんが長椅子に座っているゆかりちゃんの姿を視認していると証言しており、それから10分間程度のわずかな時間のことであった。

この時間帯、件の「おじちゃん」と考えてまず間違いない人物が、店内を徘徊した後、長椅子でゆかりちゃんの隣に座り、親しげに話しかけながら店の出入り口を指さす様子が店内の防犯カメラ映像として残されている。

少し前までゆかりちゃんが座っていた長椅子には、食べかけのおにぎりとジュースだけが置かれていた。店を飛び出したYさんではあったが、既に駐車場や路上にゆかりちゃんの姿はなく、14時頃、太田警察署へ通報した。それから48時間、警察は機動隊を含む80人体制で付近の河川等を捜索したが、ゆかりちゃんが見つからない事、身代金要求等の犯人からの接触もない事から、7月9日16時、公開捜査に踏み切った。防犯カメラの映像等の手がかりや目撃情報が皆無ではなかったが、現在のところゆかりちゃんの発見に結びついてはいない。

Yさん夫妻はそれから四半世紀以上、T V、新聞、雑誌といったメディアへの露出、街頭での呼びかけやチラシ配り等あらゆる手段に訴えてゆかりちゃんを捜し続けている。

ゆかりちゃん誘拐事件:出典:群馬県警HP

失踪の経緯から、自業自得と切り捨てようとする声も決して小さくはないが、ゆかりちゃんの行方を突き止め救い出す事、何食わぬ顔で市井に潜む誘拐犯が居るのであれば摘発し、法の裁きを受けさせる事については、親の責任の有無や人格とは関わりなく、社会全体で向き合うべき課題である。

群馬県警も、ポスターの掲示、H P、動画(防犯カメラ映像あり)、報奨金(2022年現在の上限額600万円)を提示してゆかりちゃんの情報を求めている。(「重要参考人」画像の出典は群馬県警のHP「ゆかりちゃん誘拐事件」

重要参考人の画像は群馬県警HPからの引用。画像をクリックすると群馬県警HPが開きます。また、群馬県警の本事件ポスターはコチラ

事件の手がかりとその検討

横山ゆかりちゃんについて

ゆかりちゃんは近隣の町立保育園に一歳から通園し当時年中組。園長によると、年下の子ともよく遊んであげるお姉さんタイプであった。担任の保育士は、人見知りであり、知らない人について行くような子供ではないと語っている。母親M子さんもゆかりちゃんの人見知りを認めている為、「おじちゃん」は一家の顔見知りであり、「●●●のおじちゃん」の●●●部分には両親の知人の苗字、子供の名前等が入り、それを母親に教えたかったのだと考えることもできる。

しかし、一家がこの日、「パーラー・パチトピア」を訪れることを知っている者はごく限られており、そういった親しい間柄であれば、たとえ相手が変装していたとしても、防犯カメラの映像から両親が特定していたであろう。

一方で、M子さんは「おもちゃを買ってあげよう」「デパートに行こう」等の誘いであれば、もしかしたらついていってしまったかも知れないとも語っている。人見知りの定義を一瞬見失ってしまいそうになるが、ゆかりちゃんは初対面のごく短時間こそ戸惑うものの、相手が自分に好意(と見えるもの)を向けてくれさえすれば、一気に心の垣根が低くなる子なのであろう。

実際、防犯カメラで「おじちゃん」と対話するゆかりちゃんを見ると、サングラス姿で骨っぽい顔つきの、第一印象が良いとはとても思えない「おじちゃん」が、長椅子で無遠慮に隣に座り、目の前で煙草を持った手をグイグイ灰皿と往復され、店内の騒音に負けない大声で何事かを指示されても、逃げ出すでもなく「おじちゃん」の話に耳を傾けている。

恐らく第一声で「おう、おじちゃんの事覚えているかい?忘れた?悲しいなあ、いっぱい遊んであげたのになあ」等、初対面では無い事、それを忘れてしまった事に対する偽りの罪悪感を植えつけるような言葉をかけたのではないだろうか。

こうして一度懐に踏み込んでしまえば、4歳の子供にとって相手は、「知らないおじさん」でもなければ「怖いおじさん」でもなくなり、下手をするとお詫びに「言う事を聞いてあげないといけない」とさえ考えるかもしれない。

「白昼の死角」

事件の現場となった「パーラー・パチトピア」は、国道354号線(現在は県道142号線)に面しており、国道407号線との交差点にも近い。交通量は多いものの、通過のみの車両が多く、目撃証言の収集は難航した。国道沿いとはいえ、郊外のロードサイド店舗ではなく、周囲は住宅街が広がり飲食店等も点在している為、普段はそれなりの人目があり、目撃者も現れるものと思われたが、事件発生の時間帯は夏の日曜日の昼下がりであり、昼飯時とも重なった事で一時的に路上の人通りが絶えていた。群馬県警のH Pではこれを『白昼の死角』と表現している。

動画出典:ゆかりちゃん誘拐容疑事件『白昼の死角』群馬県警察公式チャンネル

それでも、失踪同時刻頃、店舗南側の路上で「白い車に乗り込む4歳くらいの女児」の目撃証言が挙がっている。犯罪を感じさせる状況ではなかったようで、車種やナンバー、女児の服装、同乗者についての情報は記憶されなかったと思われるものの、これ以降の目撃情報が全くない事から、車両での連れ去りであり、国道等を利用して現場から迅速に離脱した可能性が高い。

目撃情報の女児は別人であり、誘拐犯が徒歩圏内に自宅を持つ近隣住民である可能性も無くはないだろうが、ゆかりちゃんをこの時間帯に店外に連れ出せたのは偶然であり、その日に限って「白昼の死角」が発生しない事も充分にあり得る訳で、防犯カメラを警戒して変装をする程度の理性がある犯人であれば、衆人環視のリスクもまた念頭に置くものと考えられる。

防犯カメラの男について

目撃情報や物証等がほぼ皆無に等しいこの事件における唯一の確実な手がかりと言って良いのが「パーラー・パチトピア」店内の14台の防犯カメラが録画した映像である。

男が入店したのは13時27分。トイレに立ち寄った後、咥え煙草、または煙草を手に持ち、台の品定めをしているかのように店内を徘徊し始め、ゆかりちゃん両親の背後の通路も通過している。しかし歩行のペースは速く、台の前に立ち止まって釘の具合を検めるような所作も無い。カードを購入する事もせず、パチンコを打つ気はまるでないかのようだ。やがて景品コーナー付近に男が現れた際、店内を散策中、再び景品を見に来たゆかりちゃんとすれ違っている。

近藤昭二『消えた子供たちを捜して公開捜査続発した行方不明事件の謎』P151

「パーラー・パチトピア」の店内等略図 出典:近藤昭二『消えた子供たちを捜して!<公開捜査>:続発した行方不明事件の謎』二見書房2000年6月. 151頁

13時33分にはゆかりちゃんと長椅子に座り、喫煙と会話。三度、店の外を指差す。ゆかりちゃんは逃げ腰になるような事もなく、座ったままワンピースのスカートの裾を両手で十数回ヒラヒラさせる(子供が何かしら逡巡している際にする仕草であるという)。13時42分には、男はそれ以上ゆかりちゃんに執着するような様子は見せず、席を立ち出入り口へ向かった。結局、パチンコ台には指一本触れる事は無かった。

男が去った後、ゆかりちゃんは両親の元を訪れ、母親に「おじちゃんがいるよ」と報告。13時45分には男の後を追うように同じ出入り口へと向かった。

その後は、恐らく店外の出入り口付近で男と合流し、駐車場へ向かって歩いたものと思われるが、店外には防犯カメラが設置されておらず、目撃者も現れなかった。

2人が使用したとみられる出入り口は店舗の北側にあり、店舗南側の駐車場で車に乗り込む迄には、駐車場所にも依るが50〜100m程度歩く必要がある。その路地は食堂の店舗とその駐車場に面しているが、ランチタイムで混雑していた為か、店内で忙しく立ち働いていた店員は勿論、客からの目撃情報もなかった。

13時50分には、両親がゆかりちゃんの不在に気づいており、その時犯人が4歳の子供を連れていたのであれば、まだその目から逃れられる程の充分な距離が取れていなかった可能性があったが、店を飛び出した父親の視界にゆかりちゃんは入っていない。

つまり、防犯カメラの男がゆかりちゃんを誘拐したという決定的な証拠がある訳ではなく、失踪前の既知の最後の接触者であるに過ぎないという事になる。極端な話、小さい女の子がひとりで遊んでいて心配だった。「退屈だからって外に出ちゃ駄目だよ!人さらいにさらわれるよ!」と言い聞かせた。この店の台は気に入らず、すぐに外に出たので後の事は知らない。という経緯だった可能性もゼロではない。

しかし、自らの映像が全国レベルで周知された後も、男が名乗り出て自分の潔白を警察に主張する事はなかった。「出頭なんてしたら警察の手で犯人に仕立て上げられてしまうから黙っていた。自分は何の情報も持っていないのだから出頭してもしなくても同じである」と言う主張がされたとすると、納得してしまう部分もあるにはあるが、現在のところ、出頭しなかった事を以て、この男はゆかりちゃんの失踪について、何らかの事情を知っているものと見做されており、実際にそうであろうと思う。

入店の際にやましい気持ちが無ければ、7月に黒い長袖のジャンパー、ニッカポッカ風ズボン、室内でも帽子にサングラスという服装は選ばない。少なくともサングラスは店内では外すだろう。 しかし、長年、該当者と思しき人物が浮上しない事から、その変装にも疑問の目が向けられている。男の身長は160cmに満たない事が映像分析により判明しており、女性の変装なのではないかというものである。

確かに正体が女性であるならば、サングラスの男を探したところで永遠に見つからないであろう。尤も、女性であれば、何も怪しげな男装をして、防犯カメラのあるパチンコ屋へ乗り込むよりも安全に、子供たちと接触できる場所や手段が調達可能なのではないかと思うのではあるが――。

北関東連続幼女誘拐殺人事件

北関東連続幼女誘拐殺人事件とは、群馬県太田市、県境を挟んで隣接する栃木県足利市の狭い範囲(半径20km)において、1979年のM・Fちゃん(当時5歳)誘拐殺人事件から、1996年に発生したゆかりちゃん行方不明事件に至る17年間に発生した5件の女児誘拐(殺人・失踪)事件が、同一犯人の手による連続事件なのではないかとして、2000年頃から問題提起がなされていたものである。

中心人物はジャーナリストである清水潔氏で、当時、5事件の中で唯一「解決」しており、同一人物による犯行である事の反証となっていた1990年発生の4歳女児誘拐殺人事件である「足利事件(M・Mちゃん事件)」を、当時のDNA鑑定の稚拙さ、捜査の杜撰さを糾弾すると共に冤罪であると報道し、見事再審無罪へと導いている。

清水氏の著書によると「足利事件」で警察の見立てを否定する証言をして封殺された、真犯人と思われる「マンガのルパンみたいな男」の目撃者二人のうちの一人である美術教師が、ゆかりちゃん事件の監視カメラの男と、自らが目撃した足利事件の真犯人である可能性の高い男が「似ているような気がする」と話したという。

しかしながら、果たして、ゆかりちゃん事件の犯人は他の4事件と同一なのだろうか?

清水氏の著書の熱量に呑まれてしまうと、もはや連続事件である事を疑う気持ちなど捨ててしまいそうになるが、ゆかりちゃん事件は他の4事件とは共通点が少ない。勿論、ゆかりちゃんの行方が判明していない分、得られる情報が限られており一見そう見えるだけなのかもしれないが、「暴力に訴えない連れ去りである」「発生が週末である」以外の共通点が見当たらない(4事件のうち2件はパチンコ店からの連れ去りではない)。

事件化する、しないに関わらず、女児への声かけ、連れ回し、暴行事件は日々発生しており、結果として殺人、行方不明という重大な結果に至った事件だけを地図に記して、事後的に円の中に納めてしまうという、所謂「クラスター錯覚」である疑いが拭えない。

尤も、恐らく女児を言葉巧みに徒歩で連れ去り、連れ回した後、暴行殺害、付近の河川沿いに無造作に遺棄するという手口の共通性が他の4事件にはある。車両での連れ去りが強く疑われ、現在も行方が判明していないゆかりちゃん事件がやや異質なのである。

4事件が連続事件であるとして、その犯人が、ライフステージの変化やDNA鑑定の導入を警戒した事で、車両の使用と遺体の隠匿を覚えたとも考えられるが、期間約10年に及ぶ他の4事件で遺体を隠匿しなかった事、車両を使わなかった(使えなかった)事についても、運転免許が取得出来ない、従って遠方に遺体を隠匿する手段が無い等、犯人にとってそうせざるを得ない事情があったはずであり、足利事件の後の6年程度で解消可能であったとは考えにくい。DNA鑑定が自分を見逃したという成功体験も、軌道修正を阻害する要因となりそうである。

真相考察

防犯カメラの男が、ゆかりちゃんの誘拐犯である事はまず間違いないであろうが、女児とのコミュニケーション力、恐らくはカメラの存在を知りながら、これから罪を犯そうとする者とは思えない物怖じの無さ、隠そうとする気配もない特徴的な歩き方、低めの身長と、この没個性とはとても言えない男が影も形もなく姿を消している理由の一つには、近隣の地域の住民では無いという事が考えられる。

車両を用いて遠方から「出張」で女児を狙う手口を確立していたのではないか。防犯カメラの映像が公開されたのは事件から1ヶ月後であり、その頃には遠い地の自宅で、全く違う風体に戻り、パチンコや犯罪とは無縁の生活を営んでいた可能性が高い。

慣れた様子で店内を徘徊している事から、「パーラー・パチトピア」には何度か下見に訪れた事くらいはあるのだろうが、店員が見覚えのない客であると証言している事からは、顔を覚えられる事への用心の為に、一つの店舗に足繁く通うような事はしなかったものと考えられる。

台に全く興味を向けない様子からは、パチンコ店は自宅から遠く離れた土地に赴いて一定期間滞在する際に「女児を物色する場」であり、パチンコ自体にもさほど興味がない可能性が高い。仮にパチンコ愛好家であれば、うっかり素の自分が出かねない遊び場を、犯行の現場には選ばないように思う。また、日本の警察は「縄張り」を持ち、全国各地を股にかけるような広域犯罪には弱い事も知られている。

改めて防犯カメラの映像を見ると、左手はズボンのポケットに、右手には煙草という構えであり、極力指紋を残さない事を意識しているようさえ見える。そうであれば相当な用心深さであり、やはり、遺棄した遺体に体液を残してしまうことさえあった他の4事件と同一の犯人とは思われない。

近年、2008年に発生した大阪のコンビニ強盗殺人未遂事件で、犯人が一時逃走した際に公表された防犯カメラ画像がこの事件に紐付けられ、動画のサムネイル等に使われる事が多い。

背景が一見パチンコ店の通路に見えなくもない事、防犯カメラ特有の解像度の低さにより、心霊写真の如くデフォルメされ、カメラ目線でニンマリと笑うボサボサ頭の中年男が、世間が所謂「ロリコン」に対して抱くステレオタイプを思わせる事もあり、アイコンとして人目を惹き、記事や動画のクリック数に寄与しているのだろう。

その為、この男の画像が、1996年に撮影された防犯カメラの男の素顔であるかのようなミスリードが横行している。凶悪事件といえども、娯楽として消費されるのが世の常であるとは言え、意図的に誤解を招く情報を流布するのは感心できない。コンビニ強盗を犯した男は既に逮捕されており、いずれ罪を償って市民生活に戻る日も来るだろう(既に戻っている可能性が高い)。

現在の所、少しでも事件の記録を紐解けば、ゆかりちゃん事件とは無関係の画像である事を知ることができるが、将来にわたってそうであるとは限らない。残念な事ではあるが、我々は一つの事件が真偽不明の都市伝説となり、やがて風化していく過渡期に立ち会っているという事なのかも知れない。


参考文献
・近藤昭二『消えた子供たちを捜して!<公開捜査>:続発した行方不明事件の謎』二見書房2000年6月 146-158頁
・河合香織「ドキュメント児童失踪」新潮社『新潮45』2003年11月号 52-56頁
・清水潔『殺人犯はそこにいる 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件』電子書籍版 新潮社 2014年6月


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2011年9月12日(月曜日)、人口2万8千人程の大分県日出町で、35歳の主婦・光永マチ子さん(以降マチ子さん)が忽然と姿を消した。その日、マチ子さんは朝から体調を崩していたといい、そのために10歳の長男と7歳の長女の朝の支度をさせるのが遅れ、小学校まで車で二人を送って行くことになったという。小学校までは、車で10分程度の距離であった。大分県日出町主婦失踪事件 概要その道のりは、子供の足では一時間近くかかってもおかしくない距離のため、送り迎えは毎日の日課であった事も考えられる。マチ子さんの自宅は田畑や雑木林に囲...
大分県日出町主婦失踪事件 - clairvoyant report
陽が傾き始め、景色が夜と入れ替わる逢魔時(おうまがとき)――1人の女児が忽然と消えた。それは、魔物の仕業だろうか――人間の仕業だろうか――。1983年に発生した未解決事件「宮城県川崎町女児失踪事件(渋谷美樹ちゃん行方不明事件)」について考察していこう。事件概要1983年(昭和58年)11月1日(火曜日)夕方4時頃。事件は保育園からの帰り道に起きた。宮城県柴田郡川崎町で農業を営む柴田家のKさん(当時59歳)は、孫の渋谷美樹ちゃん(以降美樹ちゃん・当時2歳)を保育所まで車で迎えに行き、助手席に乗せて帰宅する途中だった。美樹ちゃ...
宮城県川崎町女児失踪事件(渋谷美樹ちゃん行方不明事件) - clairvoyant report

★独自視点の未解決事件考察

本記事は「東電OL殺人事件の真犯人を考察する」目的の記事です。被害者A氏、冤罪被害者B氏及び関係者の氏名を匿名で表記します。事件や関係者の匿名化は事件や被害者を血の通わない「記号」にすることにも繋がりますが、当該事件が非常に有名な事件であるため、既に多くの先人が被害者A氏や冤罪被害者B氏の人物像などを分析、考察、紹介などしています。「人間」被害者A氏や「人間」冤罪被害者B氏の詳細は、それらの書物、記事、論文などをお読みください。なお、文末に本記事の参考、引用文献リストを記す。本記事での表記一覧被害者A...
東電OL殺人事件 真犯人を考察する - clairvoyant report
アイキャッチ画像は、キツネ目の男と脅迫(挑戦)状に使用された和文タイプライターと「ハウス食品工業恐喝未遂事件(1984年11月14日)」の現場遺留品(犯人が使用した盗難ライトバン内に残されていた「カークリーナー」「サファリハット(モスグリーン地に灰色が混じる男性用Lサイズ)」「カジュアルバック(布製紺色・肩紐つき、ローヤル・インペリアルのロゴ入り)」が描かれた大阪府警察捜査本部のテレフォンカード。グリコ・森永事件本記事はこれまで検証、考察などしたグリコ・森永事件の「まとめ記事」である。以下は各頁の主な...
グリコ・森永事件 - clairvoyant report
警視庁管内の平成三大未解決事件の一つといわれる世田谷一家殺害事件。事件発生から2022年までに述べ29万人の捜査員を投入したといわれている。世田谷一家殺害事件は、90年代、00年代を生きた人々や社会に、オウム真理教の一連の事件や酒鬼薔薇事件などの凶悪事件と同様の強烈な印象を与え、その後の社会のあり方や人々の意識を大きく変化させと言っても過言ではないだろう。世田谷一家殺害事件 考察世田谷一家殺害事件について考察していこう。本気記事内のリンクカードは、本事件に関する各項目の考察詳細を記した記事である。各項...
世田谷一家殺害事件 - clairvoyant report
高度経済成長と学生運動の只中、大胆不敵な知能犯が日本犯罪史上に残る大事件を実行した。時間と手間を掛け、入念に計画された「その事件」は「時代」を象徴する事件となり、現在も語られ続け、小説、映画、ドラマ等の創作物となり、人々の好奇心を刺激し続けている。 「時代」の象徴と永遠の謎となった「その事件」――三億円事件の謎と犯人像について考察していこう。三億円事件 概要1968(昭和43)年12月10(火曜日)午前9時15分、旧「日本信託銀行国分寺支店」(東京都国分寺市本町2-12-6)から1台の車が発進した。発進したニッサン...
三億円事件の謎を考察 - clairvoyant report
帝銀事件の謎を考察・検証帝銀事件 事件概要帝銀事件の事件概要旧帝国銀行椎名町支店と帝銀事件の犯人が銀行関係者などに毒物を飲ませる口実に使った相田宅及びGHQジープの位置関係の略地図「『疑惑α―帝銀事件 不思議な歯医者 佐伯省(1996年),P286から引用』」事件現場旧帝国銀行椎名町支店当時の所在地東京都豊島区長崎町1-33年月日時1948年(昭和23)1月26日(月曜日)15時過ぎ頃事件概要詳細不明の青酸化合物を使用した強盗殺人など被害者数死亡者12名など被害総額現金164,410円、小切手17,450円「帝銀事件 検証 詐欺師の犯罪」...
帝銀事件 検証 詐欺師の犯罪 - clairvoyant report
湯河原町女性放火殺人事件(2015年4月21日発生)の犯人は、茨城一家殺傷事件(2019年9月23日発生)の被疑者として逮捕、起訴された岡庭由征被告ではないか?との説が散見される。この二つの事件には、動機不明な点や刃物で被害者の顔面や頭部を攻撃する残忍な手口など共通する点がある。また、神奈川県警察のHPにある『現場方向からJR湯河原駅に現れた人物で、事件について何らかの情報を持っていると考えられる』人物の特徴や動きが岡庭由征被告に似ているとの説もある。 湯河原町女性放火殺人事件の犯人と茨城一家殺傷事件の岡庭...
湯河原町女性放火殺人事件の犯人は?茨城一家殺傷事件との関係性は?などを考察 - clairvoyant report
その日、四人の家族は、昼過ぎから東京都世田谷区内の商店街に買い物に出かけた。翌日31日は大晦日。家族は年越しソバなどを買い、夕方、自宅に戻った。買い物に車を使ったともいわれるが車は自宅のガレージ(車庫)に駐車せず、翌日まで自宅前に路上駐車されていた。家族は年明け2001(平成13)年1月3日から二泊三日で箱根に旅行の予定だった。被害者A氏、妻、二人の子供、そして、被害者A氏の父親の5人での初めての旅行の予定だった(参考:奪われし夢世田谷一家殺害事件(上)「ケーキ食べに来て」孫の招待悲し最後のXマス祖父絶句...
世田谷一家殺害事件 推理 考察 なぜ狙われたのか 動機 - clairvoyant report
日本(東京)から約7,500キロメートル離れたモスクワに世界初の社会主義国家・ソビエト社会主義共和国連邦が誕生した1922(大正11)年の10月、千葉県木更津市の開業医の四男として男は生を受けた。祖父の代から医者の家柄だった男の父は、千葉県木更津市の市長もつとめる名士だった。裕福な名家生まれの男は、父親や母親の期待に応えるかのように第一高等学校(現、東京大学大学院総合文化研究科・教養学部等)に入学、22歳となる1943(昭和18)年、東京帝国大学法学部(現、東京大学大学院法学政治学研究科・法学部)に進学した。男の...
光クラブ事件・裏切りを怖れる「偽悪者」山崎晃嗣を考察する - clairvoyant report
知略縦横を働かせ自分よりも大きな組織などを相手に大胆不敵な犯罪を実行する者がいる。「東の(府中)三億円事件、西の大阪ニセ夜間金庫事件」と並び称される同時代に発生した2つの事件は、時代を超え人々の好奇心を刺激する。事件発覚直後に「日本版『黄金の七人』」とも報じられた(参考:「偽装夜間金庫」朝日新聞 1973年2月27日付)「大阪ニセ夜間金庫事件」の犯人像を遺留品や時代背景などから考察していこう。なお、『黄金の七人』は、1965年に製作されたイタリア映画である。同映画は1967年から『漫画アクション』での連載が開...
大阪ニセ夜間金庫事件 - clairvoyant report
江東区小5女児誘拐殺人事件とは、1969年(昭和44年)5月31日(土曜日)、17時30分頃、東京都江東区東雲1丁目内の某社社宅居住の小学校5年生E子ちゃん(10歳)が、買い物からの帰宅途中に車に乗った男に誘拐され、同年6月3日、午前11時頃、誘拐現場から南東方向へ直線距離で約1キロメートルの東京都江東区辰巳町東京湾十二号埋立地(現在の東京都江東区辰巳3丁目内付近)でE子の遺体が発見された(猥褻目的)未成年者略取、殺人、死体遺棄事件である。 一時は、本事件翌年の1970年6月3日(水曜日)に千葉県木更津市内で発生した小学校3...
江東区小5女児誘拐殺人事件 - clairvoyant report
貨幣・紙幣は国家の信用の上に成り立っている。特に国家による信用の裏付けのない紙幣は、単なる文字と絵が描かれた紙切れに過ぎない。1961(昭和36)年に最初の一枚が見つかった贋造紙幣「チ-37号」は、その精巧な造りから「贋造紙幣の最高傑作」、「最後の職人技」などと呼ばれ、1963(昭和38)年11月14日まで事件は続いた。国会でも取り上げられた「チ-37号事件」は、社会に大きな影響を与えた戦後の事件の一つでもある。警察は犯人検挙に向け異例の大規模捜査を行い、政府は新たな千円紙幣(伊藤博文像の紙幣)を発行し対応するが―...
チ-37号事件 - clairvoyant report
1991年5月19日、50歳の男性が東京都内の病院で病死した。男性は末期ガンだった。男性の名前は「山森将智家」の筈だった。けれども男性の名前は「山森将智家」ではなかった。名前どころか、戸籍記載事項から勤務先まで全てが嘘(ウソ)だった。真実を欲する妻を取材した「夫はだれだった」というタイトル記事が朝日新聞に掲載されたのは、同年の11月のことだった。「夫はだれだった」の見出しと記事内容は、読み手の心を刺激したのだろう。後年、同記事をモチーフにした小説『嘘を愛する女』(岡部えつ,徳間文庫,2017年)が発表され、翌...
夫はだれだった:「山森将智家」と二人の妻『嘘を愛する女』の実話 - clairvoyant report
岡山県津山市19歳会社員失踪事件 概要2019年8月26日(月曜日)、岡山県津山市の土木関連企業の社員で、保守点検業務に就いていた中山裕貴さん(なかやま ひろたかさん・以下裕貴さん・当時19歳)はその日、4月に入社したばかりの職場に姿を見せなかった。事前または当日の連絡はなく、いわゆる無断欠勤であった。裕貴さんは2019年3月に岡山県岡山市の工業高校を卒業後、新卒で入社して以降、真面目な勤務態度で知られており、前の週である8月19日から23日も特に変わった様子もなく働いていたという。上司であるY氏の言を借りれば、「新入...
岡山県津山市19歳会社員失踪事件(中山裕貴さん行方不明事件) - clairvoyant report
1999(平成11)年8月13日(金曜日)17時50分頃、JR横浜線「成瀬」駅から北東方向へ直線距離で約100メートルの場所に所在した某レンタルビデオ店から一人の女性が出た。彼女はT美術大学で絵画を学ぶ18歳の井出真代さんだった。某レンタルビデオ店の従業員の記憶によれば、店を出た彼女は自宅とは逆方向のJR横浜線「成瀬」駅方面に向かったのではないかといわれている。発生から20年以上を経て未だに未解決の井出真代さん失踪事件(町田市美大生失踪事件)について考察していこう。※本記事の内容は全て個人的な考察と推察です。事件経緯...
井出真代さん失踪事件(町田市美大生失踪事件) - clairvoyant report

Tokume-Writer

兼業webライターです。ミニレッキス&ビセイインコと暮らすフルタイム事務員。得意分野は未解決事件、歴史、オカルト等。クラウドワークスID 4559565 DMでもご依頼可能です。文学・歴史・犯罪心理・メンタルヘルス・オカルトなど。