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湯河原町女性放火殺人事件の犯人は?茨城一家殺傷事件との関係性は?などを考察

湯河原町女性放火殺人事件(2015年4月21日発生)の犯人は、茨城一家殺傷事件(2019年9月23日発生)の被疑者として逮捕、起訴された岡庭由征被告ではないか?との説が散見される。

この二つの事件には、動機不明な点や刃物で被害者の顔面や頭部を攻撃する残忍な手口など共通する点がある。

また、神奈川県警察のHPにある『現場方向からJR湯河原駅に現れた人物で、事件について何らかの情報を持っていると考えられる』人物の特徴や動きが岡庭由征被告に似ているとの説もある。 湯河原町女性放火殺人事件の犯人と茨城一家殺傷事件の岡庭由征被告の関係性について考察していこう。

湯河原町女性放火殺人事件の事件概要

事 件 名足柄下郡湯河原町の民家で発生した女性殺人並びに放火事件
発生日時2015(平成27)年4月21日(火曜日)午前5時~6時頃
発生場所神奈川県足柄下郡湯河原町宮下に所在するA氏方
被 害 者1名(66歳の女性A氏)
動  機不明
湯河原町女性放火殺人事件 事件概要

(参考:神奈川県警HP及び「神奈川・湯河原の女性放火殺人防犯カメラに玄関出る不審人物特定急ぐ(NHKニュース2015年4月22日付)」)

発生日時は、神奈川県警HP及び「神奈川・湯河原の女性放火殺人 防犯カメラに玄関出る不審人物特定急ぐ(NHKニュース2015年4月22日付)」などを参考にした。

犯人の動機は不明だが、「捜査本部によると、現場には物色した形跡がなく、室内から平井さんの物とみられる現金入りのポーチが見つかった。(引用:湯河原放火殺人 犯行目的は依然不明 事件から1週間 現金入りポーチ残る中日新聞2015年4月28日付)」との報道があるため金銭目的の犯行ではないと推察される。なお、同事件は「殺人」及び「非現住建造物等放火」などである。

被害者A氏は、「寝室のベッドの上であお向け状態で発見され、額に包丁のような刃物が刺さっていたが、着衣に乱れはなく、布団がかぶさっていた。捜査関係者によると、女性の顔は人相が分からないほど殴られていたという。(引用:神奈川女性殺害 火災前、近くで傷害事件 男逃走、関連を捜査 産経新聞2015年4月22日付)」、「焼け跡の寝室から女性の遺体が額に包丁が刺さった状態で見つかりました。(引用:「神奈川・湯河原の女性放火殺人 防犯カメラに玄関出る不審人物特定急ぐNHKニュース2015年4月22日付」)などの報道があるため、犯人には非常に強い殺意、残虐性、破壊衝動などがあったと推察される。

また、同事件発生時刻(午前5時から午前6時頃)から約5-6時間前頃の2015(平成27)年4月20日23時45分~21日午前0時頃、同事件被害者A氏宅から約300-350メートル離れた神奈川県足柄下郡湯河原町土肥4丁目に所在する集合住宅2階部に住む当時61歳の男性宅に50-60センチの鉄パイプ(水道管との報道もある。参考:襲撃犯「殺して奪えばいい」女性殺害と関連捜査 神奈川県警 時事通信2015年4月22日付)を所持した20-30代の男性が押し入り同男性を殴打する事件が発生している。

湯河原町女性放火殺人事件の犯人と近隣で発生した男性殴打事件の犯人が同一犯か否かは不明だが2つの事件の関連性を指摘する報道が散見される。 神奈川県警察は『足柄下郡湯河原町の民家で発生した女性殺人並びに放火事件』などで2つの事件の関係性を正式に指摘等してはいないが、神奈川県警察HPにある『現場方向からJR湯河原駅に現れた人物で、事件について何らかの情報を持っていると考えられます。』の人物特徴(身長170センチメートル、やせ型)は、男性殴打事件の犯人特徴「男は身長約170センチのやせ形で、20~30代ぐらい。グレーのパーカに黒いズボン姿で、口元をタオルで隠していた。(引用:神奈川女性殺害 火災前、近くで傷害事件 男逃走、関連を捜査 産経新聞 2015年4月22日付)」に類似している。

湯河原町女性放火殺人事件 被害状況

2015(平成27)年4月21日(火曜日)午前5時~6時頃に発生した「湯河原町女性放火殺人事件」は、非常に残忍な事件だ。

犯人Xは、自宅近所の障害者支援施設に通う足の不自由な被害者A氏の寝込みを襲い、刃物などで顔面、頭部などを攻撃し、前述の報道によればA氏の額には包丁のような刃物が刺さっていたといわれ、「顔は人相が分からないほど殴られていたという。(引用:「神奈川・湯河原の女性放火殺人 防犯カメラに玄関出る不審人物特定急ぐNHKニュース2015年4月22日付」)」との報道もある。

被害者A氏の着衣には乱れはないとの報道があるため性的暴行目的の犯行ではないと考えられるが、残忍な方法で被害者を殺害し、灯油を撒き放火した重大な犯罪である。

また、前述のとおり、湯河原町女性放火殺人事件の現場近隣(300-350メートルの距離)で同日に発生した男性殴打事件(傷害事件)も未解決事件(2022年12月22日現在、犯人逮捕の報道はない)であり、同一犯の可能性が極めて高いとも思われる。

この男性殴打事件(傷害事件)も動機不明な事件である。

襲撃犯「殺して奪えばいい」=女性殺害と関連捜査-神奈川県警 神奈川県湯河原町の平井美江さん(66)方が全焼し、額に包丁が刺さった女性の遺体が見つかった殺人放火事件で、火災発生前にこの近くのアパート一室に押し入って男性(61)に暴行を加えた男が襲撃前、男性に対し「金は金持ちから殺して奪えばいい」などと話していたことが22日、男性への取材で分かった。殺人事件では、何者かが女性を殺害後、家に火を付け逃走したとみられており、県警が襲撃事件との関連を調べている。 火災現場から約350メートル離れた同町土肥のアパートに住む被害男性によると、火災から約6時間前の20日午後11時50分ごろ、帰宅途中、電信柱に隠れる不審な男の後ろ姿を目撃した。男は男性の方を振り返って走り去った。 帰宅して数分後、若い男が無施錠の玄関から土足で侵入。男は両手に靴下を着けて、長さ50~60センチの水道管を持っていた。「後をつけられた」と思った男性に対し、男は「お前を殺す」「あんたから取るものはない。金は金持ちから殺して奪えばいい」と告げた。男性が「地元の人間か」と尋ねると、「そうだ」と返答。「親は俺を産んですぐ捨てた」などと語ったという。男は男性の頭を鉄パイプで2回殴り、何も取らずに逃走した。男性は軽傷を負った。

時事通信2015年4月22日付

同一地域内で同時期に発生した2つの動機不明な事件(「湯河原町女性放火殺人事件」「男性殴打事件(傷害事件)」)は、60代の女性が殺害され自宅が放火され、60代の男性が頭を鉄パイプ状の金属で叩き怪我をなどの被害を与えた凶悪事件である。神奈川県警察は現在(2022年12月23日現在)も情報提供を求めている。

湯河原町女性放火殺人事件 犯人の手がかり

これまでの報道から「湯河原町女性放火殺人事件」には目撃者はいないようだ。同事件の犯人の手がかりは、被害者A氏宅付近にあるパチンコ店の防犯カメラに映っていた事件発生時間付近に被害者A氏宅の玄関から出る性別不明の人物の映像(参考:神奈川・湯河原の女性放火殺人 防犯カメラに玄関出る不審人物 特定急ぐNHKニュース2015年4月22日付)と神奈川県警察がHPで公表している駅の防犯カメラに録画された『現場方向からJR湯河原駅に現れた人物で、事件について何らかの情報を持っていると考えられる』人物の映像及び同映像からの写真と湯河原町女性放火殺人事件と男性殴打事件(傷害事件)が同一犯だと仮定した場合の「男性殴打事件(傷害事件)」の被害者男性61歳の目撃情報だと思われる。

動画は神奈川県警察HPの映像から作成。Clairvoyant reportチャンネル。

神奈川県警察HPにある『現場方向からJR湯河原駅に現れた人物で、事件について何らかの情報を持っていると考えられる』人物の特徴と着衣・所持品は以下のとおり。

身  長170センチメートルくらい
体  格やせ型
髪  型耳に被るくらいの長さ
当時服装黒っぽい長袖上衣・黒っぽい長ズボン・白色マスク
所 持 品青色チェック柄の手提げ紙袋・黒色リュックサック
出典:神奈川県警察HP

なお、写真や映像から頭髪には自然なウェーブがかかり、ウィッグ(カツラ)を使用していないならば毛量は多めだと思われ、靴は白色に黒のラインなどが入っているようにも見受けられる。

「男性殴打事件(傷害事件)」の被害者男性61歳の目撃情報による犯人の特徴と着衣などは以下のとおり。

身  長170センチメートルくらい
体  格やせ型
年  齢20-30代
当時服装グレーのパーカ、黒いズボン、口元をタオルで隠していた
典拠:神奈川女性殺害 火災前、近くで傷害事件 男逃走、関連を捜査 産経新聞 2015年4月22日付

また、被害者男性は日刊スポーツ記者の取材に「男は胸部分にオレンジ色と茶色のローマ字が入った灰色パーカと黒いジーンズ姿で、黒い靴を履いていた。両手には灰色の靴下を着けていた。フードを深々とかぶり、口元にはタオルが巻かれていた。目は一重で大きさは普通。まゆ毛はしっかりとしていた。声は高めで若々しかった。(引用:「湯河原殺人鬼と同じ男か」 日刊スポーツ2015年4月23日)との報道もある。

繰り返しになるが、この2つの事件が同一犯だと仮定するならば、「男性殴打事件(傷害事件)」の被害者男性61歳の目撃情報「目は一重で大きさは普通。まゆ毛はしっかりとしていた。声は高めで若々しかった」は、非常に重要な犯人の手がかりだといえそうだ。

湯河原町女性放火殺人事件 犯人の行動と人物像

動機不明な2つの事件(「湯河原町女性放火殺人事件」「男性殴打事件(傷害事件)」が同一犯ならば、事件当日(2015年4月20日月曜日から21日火曜日)の犯人の動きは以下のとおりである。

犯人の行動

4月20日23時50分頃:帰宅途中の殴打事件の被害者男性が電信柱に隠れる不審な男の後ろ姿を目撃。男は男性の方を振り返って走り去った。帰宅して数分後、若い男が無施錠の玄関から土足で侵入。男は両手に靴下を着けて、長さ50~60センチの水道管を持っていた。(参考・引用:襲撃犯「殺して奪えばいい」女性殺害と関連捜査 神奈川県警 時事通信2015年4月22日付)犯人Xは、被害者男性の部屋に侵入すると「開いていた窓やガラス戸を閉め、鍵を要求していたという(引用:湯河原放火殺人 犯行目的は依然不明 事件から1週間 現金入りポーチ残る 中日新聞 2015月4月28日付)」

4月21日0時00~0時15分頃:犯人Xは、被害者男性と10数分に渡り「地元の人間だ」「俺の両親は俺を産んですぐ捨てた」「俺はガキの頃からシャブを打ってきたんだ」「仲間に入らないか」「お前を殺す」「あんたから取るものはない。金は金持ちから殺して奪えばいい」「親は俺を産んですぐ捨てた」などと会話をする。その後、男性は後頭部を鉄パイブ状の金属の棒で殴られ取っ組み合いになったと報道され(参考:「湯河原殺人鬼と同じ男か 日刊スポーツ2015年4月23日付」、「襲撃犯『殺して奪えばいい』女性殺害と関連捜査 神奈川県警 時事通信2015年4月22日付」)、犯人Xは被害者男性を殴打後の0時00~0時15分頃に男性宅から立ち去ったと推測される。

4月21日 時間不明:犯人Xは、神奈川県足柄下郡湯河原町土肥5丁目の公園に男性殴打で使用した鉄パイプ(水道管との報道もある)を捨てたと思われる。(参考:神奈川県 湯河原町 鉄パイプ近くの公園で見つかる 凶器か NHKニュース2015年4月23日付)

4月21日 5時前後頃:犯人Xは「湯河原町女性放火殺人事件」被害者A氏宅に侵入。被害者A氏の顔面、頭部などを刃物等で攻撃し、被害者A氏を殺害、「司法解剖の結果、女性の死因は頭の骨を折ったことなどに伴う脳挫滅と判明。死亡推定時刻は21日午前5時ごろだった(引用:神奈川女性殺害 火災前、近くで傷害事件 男逃走、関連を捜査 産経新聞 2015年4月22日付)」との報道も確認される。

4月21日 6時頃:被害者A氏の自宅から火が出る(放火される)(参考:「神奈川・湯河原の女性放火殺人 現場付近の歩道上に血痕か 関連捜査 NHKニュース 2015年4月22日付」)

湯河原町女性放火殺人事件の防犯カメラ映像駅ホームの人

4月21日 早朝(時間不明):『現場方向からJR湯河原駅に現れた人物で、事件について何らかの情報を持っていると考えられる』人物がJR「湯河原駅」の自動改札を「子ども料金の切符」で通過、同駅の上下線ホームにエスカレーターを使い上がる姿が防犯カメラに記録され、同防犯カメラの映像には、ホームに犯人X以外の事件とは無関係と思料される電車の到着を待つ人物の姿も記録されている。

事件が発生した2015(平成27)年のJR湯河原駅1日平均乗車人員は、5,986人(参考:外部リンク「湯河原町HP統計要覧令和4年版PDF」)である。早朝(時間不明)とはいえ、同駅ホーム(同駅は1面2線ホーム)には他に利用客がいただろう。

なお、「使用した切符がみつかっていないことがわかり、ほかの駅で改札を通らず逃走したか、電車に乗らず駅から離れたか、詳しい足取りを捜査している(引用:神奈川 湯河原放火事件から2年 防犯カメラ映像の人物 使用切符見つからず NHKニュース2017年4月21日付)」との報道もあるため、犯人Xが電車を利用したと仮定した場合は、神奈川県警管内の外(警視庁管内や山梨県警管内、静岡県警管内など)まで移動し、所謂「キセル行為(キップを失くしたなどの理由で降車駅までの最低運賃などを支払う行為など)」で降車駅改札を出た可能性も考えられる。(ただし、防犯カメラの解析などを行う警視庁刑事部の「捜査支援分析センター」は、2009年に設置されたため、犯人Xが電車内で着替えや変装などしない限り情報収集は出来る(た)可能性は高いと推察されるのが――。)

人物像

前述の『現場方向からJR湯河原駅に現れた人物で、事件について何らかの情報を持っていると考えられる』人物の映像には、同人物の特徴のある歩き姿が記録されている。

湯河原町女性放火殺人事件の防犯カメラ映像靴と歩き方参考画像

同人物が自動改札を通過した後の映像及びエスカレーターを利用する映像には、同人物の左右の足が内側で交差するように見受けられる場面が記録されている。これは同人物が所謂X脚といわれる特徴を持つとも推測され、前述の「頭髪には自然なウェーブがかかり、ウィッグ(カツラ)を使用していないならば毛量は多めだと思われる」ともに重要な身体的特徴の可能性だとも考えられる。

また、「湯河原町女性放火殺人事件」は、被害者の顔面、頭部などを刃物などで激しく攻撃し、灯油を撒いて放火するという極めて重大な残虐的犯罪である。過去の同様事件には、1997(平成9)年2月から5月の「神戸連続児童殺傷事件」(酒鬼薔薇聖斗を名乗る当時14歳の少年による性的快楽目的の連続殺傷事件。少年は医療少年院送致)や2014(平成26)年12月7日発生の「名古屋大学女子学生殺人事件」(快楽殺人、殺人願望の嗜好を持つ当時19歳の女性は、同事件以外にも中高の同級生少年に密かに硫酸タリウムを飲ませ重篤な後遺症を与えた事件や宮城県内にある実家近隣の住宅に放火するなど事件も起こしている。2019年10月22日付無期懲役確定)が思い出される。

上記2つの事件の加害者には、性的サディズムや殺人願望などがあるといわれることから、「湯河原町女性放火殺人事件」の犯人Xにも性的サディズム、殺人願望や精神科病院への通院歴、犯人Xが20代から30代だと仮定するならば、未成年時代の重大犯罪などの前歴、(医療)少年院送致などを有する可能性が考えられる。

茨城一家殺傷事件の事件概要と岡庭由征被告

2019年9月23日0時40分頃、茨城県猿島郡境町大字若林のB氏宅に何者かが侵入し、家族4名が殺傷される茨城一家殺傷事件が発生した。

事件現場B氏宅が所在する茨城県猿島郡境町大字若林は、利根川を挟み千葉県野田市(千葉県野田市までの距離は西方向直線距離約1キロメートル)、埼玉県幸手市に隣接する県境に所在する。

岡庭由征被告の自宅(埼玉県三郷市鷹野4丁目)から被害者B氏宅(茨城県猿島郡境町大字若林)までは、直線距離で約30キロメートル離れており、自動車運転免許などを所持していない岡庭由征容疑者は、同区間を自転車で移動した可能性が報道されている(参考:「容疑者 免許持たず 茨城家族殺傷 自転車で30キロ移動か」中日新聞2021年5月8日付)。

また、茨城一家殺傷事件の1週間前頃にも、被害者B氏宅付近で不審者が目撃されていたとの報道もある(参考:「茨城殺傷1週間 事件前にマスクの不審者 夫婦恨む顔見知りか」産経新聞2019年9月30日付)。

事 件 名茨城一家殺傷事件
発生日時2019(令和1)年9月23日(月曜日)午前0時40分頃
発生場所茨城県猿島郡境町若林に所在するB氏方
被 害 者4名(死亡者2名、負傷者2名)
動  機不明(2021年9月17日、殺人、殺人未遂、傷害、住居侵入の罪で起訴)
茨城一家殺傷事件 事件概要

茨城一家殺傷事件と湯河原町女性放火殺人事件は県境の事件

茨城一家殺傷事件が発生した2019年9月23日は、雨だった。岡庭由征被告は、雨のなか、自転車で自宅(埼玉県三郷市鷹野4丁目)から直線距離で約30キロメートル離れた害者B氏宅(茨城県猿島郡境町大字若林)を移動し、事件後も自転車で帰宅したのだろうか? 岡庭由征被告の事件前、事件後の移動などにはいくつかの仮説が成り立つ。

  1. 岡庭由征被告は、事件の1週間前頃から被害者B氏宅付近に滞在(宿泊)し、事件後は速やかに自宅に戻った。
  2. 岡庭由征被告は、事件の1週間前頃から被害者B氏宅付近に滞在(宿泊)し、事件後も同滞在先(宿泊先・隠れ家など)に戻った。
  3. 岡庭由征被告は、事件当日に自宅から被害者B氏宅に移動し、事件後は速やかに自宅に戻った。
  4. 岡庭由征被告は、事件当日に自宅から被害者B氏宅に移動し、事件後は以前から利用していた同滞在先(宿泊先・隠れ家など)に戻った。

公判が開かれていない現時点(2023年1月20日時点)、上記1から4は、全て仮説・推測の範囲となるが、茨城一家殺傷事件の着眼点は、被害者B氏宅が千葉県、埼玉県に隣接する位置に所在することだろう。

岡庭由征被告が自宅のある埼玉県、千葉方面に移動するには、利根川を越えないとならない。

被害者B氏宅から北西方向直線距離約9キロメートルには、「茨城県警察本部 境警察署」(茨城県猿島郡境町大字長井戸51-27)が所在する。2019年9月23日0時40分頃、被害者B氏の妻が110番通報を入れ、約15分後には境警察署の警察官が被害者B氏に到着している。警察官は、「境警察署」から被害者B氏宅に向かったのだろか?

繰り返しになるが、被害者B氏宅から千葉県、埼玉県に移動するには、利根川を越えなければならない。利根川に架かる「橋」を通らなければならない。被害者B氏宅付近にある利根川に架かる「橋」は、「境大橋:北西方向直線距離で約5キロメートル」、「下総利根大橋:南方向直線距離で約3キロメートル」、「芽吹大橋:南東方向直線距離約9キロメートル」の3つの橋であるが、「境警察署」方面にある「境大橋」を選べば事件現場に急行する緊急車両に現認された可能性もある。

岡庭由征被告が茨城一家殺傷事件の犯人と仮定するなら、岡庭由征被告は、「茨城県道・千葉県道162号岩井関宿野田線」の茨城県坂東市大字長須-千葉県野田市木間ケ瀬を結ぶ「下総利根大橋」を越えた可能性があるが――果たして雨のなか当日、自宅に戻ったのだろうか?「下総利根大橋」を越え、千葉県野田市内に入り、雨を避け宿泊できる場所を見つけ、宿泊したのではないだろうか?裁判で検察側、被告人側が何を語るか?大いに注目しよう。

また、湯河原町女性放火殺人事件の現場最寄り駅の『湯河原町』駅は、千歳川を挟み静岡県熱海市に隣接する。湯河原町女性放火殺人事件の被害者A氏宅が所在する「神奈川県足柄下郡湯河原町宮下」、男性殴打事件(傷害事件)の被害者男性宅のある「神奈川県足柄下郡湯河原町土肥」、男性殴打事件の凶器(鉄パイブ状棒)が捨てられていたとの報道にある「神奈川県足柄下郡湯河原町土肥5丁目の公園」――千歳川を越えれば静岡県熱海市である。

茨城一家殺傷事件と湯河原町女性放火殺人事件は県境で発生した未解決(茨城一家殺傷事件は、裁判による事実認定なされていない)事件だという類似点があるようだ。

冒頭でも記したが、湯河原町女性放火殺人事件の犯人Xは、2019(令和1)年9月23日の未明に発生した茨城一家殺傷事件の岡庭由征被告ではないか?との説がネット上に散見される。

確かに、前述の『現場方向からJR湯河原駅に現れた人物で、事件について何らかの情報を持っていると考えられる』人物の映像の人物の容姿(体型、頭髪など)や被害者の家に侵入し、被害者の顔面、頭部などを刃物などで激しく攻撃し、灯油を撒いて放火するという残忍な手口は茨城一家殺傷事件の岡庭由征被告(事実認定はされていないため注意が必要)を連想させる。

なお、岡庭由征被告は容疑を否認または黙秘しているとの報道(参考:「茨城一家殺傷、26歳起訴 刑事責任問えると判断 殺人罪など 朝日新聞 2021年9月18日」)が散見され、岡庭由征被告VS.検察の徹底対決も予想される裁判の行方――大きな注目を集めるだろう。

茨城一家殺傷事件 岡庭由征被告について

ここからは、過去の報道を参照しながら岡庭由征被告の略歴などを整理しよう。

1994年12月頃(詳細不明)埼玉県三郷市内で生まれる。出生時の名前は「吾義土(あぎと)」
2011(平成23)年11月18日埼玉県三郷市内で中学3年生の女子生徒の顔を切りつける殺人未遂事件。岡庭由征被告は当時16歳
2011(平成23)年12月1日千葉県松戸市内で小学2年女児の脇腹を刃物で刺す殺人未遂事件
2011(平成23)年12月5日銃刀法違反などで逮捕
2012(平成24)年2月1日-5月21日鑑定留置。岡庭由征被告は当時17歳
2012(平成24)年7月27日殺人未遂罪、動物虐待、放火などの罪でさいたま地検が起訴
2013(平成25)年3月12日さいたま地裁は「広汎性発達障害」などの理由により家庭裁判所への送致を決定。岡庭由征被告は当時18歳
2013(平成25)年3月21日さいたま家裁は、「治療的働きかけは23歳になるまでの期間とし、なお著しい問題がある場合は26歳までの収容継続を検討すべきだ(引用:「【真・治安論】第2部 塀の中 絶てぬ再犯(5)凶行の芽を摘む切り札は 産経新聞 2021年11月24日付」)と医療少年院に収容を決定
2017年12月頃(詳細不明医療少年院を退院(出所)。岡庭由征被告は当時23歳。1年未満の間、埼玉県北部のグループホームで生活し、時期不明に埼玉県三郷市内の自宅に戻る(参考:引用:「【真・治安論】第2部 塀の中 絶てぬ再犯(5)凶行の芽を摘む切り札は 産経新聞 2021年11月24日付」)
茨城一家殺傷事件 岡庭由征被告の略歴 過去の各種報道を参考に作成

茨城一家殺傷事件 岡庭由征被告の身長は?

茨城一家殺傷事件岡庭由征被告の身長は詳細不明であるが、岡庭由征被告の身長の参考となりそうな画像が「文春オンライン2021年5月7日配信 『2020年11月19日、吉川署へ入る岡庭容疑者』」に掲載されている。

同記事には、岡庭由征被告(当時は被疑者)が警察関係車両「ニッサンセレナ・白系色・20G」で埼玉県警吉川署に連行される数点の写真が掲載されており、岡庭由征被告の身長が「ニッサンセレナ・白系色・20G」の全高(路面から車体の最上部)と「ほぼ」同等にも見受けられ(ただし、写真撮影の角度の詳細は不明)、連行などする埼玉県警察の他の警察官と比べても同等または少し高い印象を受ける。

「ニッサンセレナ・白系色・20G」(前期型2010年11月-2013年12月販売)は、「全長×全幅×全高(4685×1695×1865mm)」(写真の出典、「全長×全幅×全高」の参考:外部リンク先はグーネット「日産 セレナ(SERENA)20G(2010年11月)カタログ・スペック情報」)であることから岡庭由征被告の身長は170センチ以上だと推測される。

神奈川県警察が公式に発表している湯河原町女性放火殺人事件の犯人Xの身長は170センチだが、前述の『現場方向からJR湯河原駅に現れた人物で、事件について何らかの情報を持っていると考えられる』人物の自動改札機(自動改札機の高さは1メートル前後)を通過する映像を見ると170センチよりも高い印象も受け(ただし、防犯カメラの撮影の角度は斜め上部からだと思われる)、やせ型だが肩幅のある体型にも見受けられる。

これらのことから湯河原町女性放火殺人事件の犯人Xと茨城一家殺傷事件岡庭由征被告の身長は「同程度」の可能性があると推察できそうだ。

茨城一家殺傷事件との関連性と疑問点

これまでの報道が正しいと仮定するなら岡庭由征被告は2017年12月頃まで医療少年院に収容されていたことになり、「湯河原町女性放火殺人事件の犯人Xは、2019(令和1)年9月23日の未明に発生した茨城一家殺傷事件の岡庭由征被告ではないか?」の説に重大な欠陥があることがわかる。 そう、湯河原町女性放火殺人事件の発生は、2015(平成27)年4月21日(火曜日)午前5時-6時頃である。

少年院法(リンク先は法令検索)によれば、原則として「少年院に収容されている保護処分在院者が二十歳に達したときは退院」だが、前述のとおり、さいたま地裁は「治療的働きかけは23歳になるまでの期間とし、なお著しい問題がある場合は26歳までの収容継続を検討すべきだ」と決定したとの報道があるため、2015(平成27)年4月21日当時、20歳だと推認される岡庭由征被告は医療少年院に収容さていたことになり、湯河原町女性放火殺人事件は犯せないのだが――強引かつ乱暴な仮説も成り立つ。

それは、「少年院法 第45条第1項(外出及び外泊)」の「少年院の長は、在院者(刑法第二十八条、少年法第五十八条又は国際受刑者移送法第二十二条の規定により仮釈放を許すことができる期間を経過していない受刑在院者を除く。)の円滑な社会復帰を図るため、少年院の外において、その者が、出院後の住居又は就業先の確保その他の一身上の重要な用務を行い、更生保護に関係のある者を訪問し、その他その出院後の社会生活に有用な体験をする必要があると認める場合であって、その者の改善更生の状況その他の事情を考慮し、相当と認めるときは、少年院の職員の同行なしに、外出し、又は七日以内の期間を定めて外泊することを許すことができる。」を岡庭由征被告に適用された場合であるが――「少年院の長」が殺人未遂、放火などの重大事件を犯した岡庭由征被告に法の運用を与えるか?となると――常識的に考えあり得ないと考えるのが妥当だろう。

さらに、岡庭由征被告が「外出及び外泊」時に湯河原町女性放火殺人事件を起こしたのなら法務省、警察は当然ながら把握している筈であり、事件は解決に向かっているだろう。

上記の結果から「湯河原町女性放火殺人事件の犯人Xは、2019(令和1)年9月23日の未明に発生した茨城一家殺傷事件の岡庭由征被告ではないか?」の説は誤りであり、湯河原町女性放火殺人事件の犯人は岡庭由征被告以外の者だとの推論に至るが――気になる点も残る。

それは、前述の『現場方向からJR湯河原駅に現れた人物で、事件について何らかの情報を持っていると考えられる』人物が「青色チェック柄の手提げ紙袋」「黒色リュックサック」を所持していたことだ。

「青色チェック柄の手提げ紙袋」「黒色リュックサック」に入っていたのは何だろうか?「男性殴打事件(傷害事件)」の被害者男性61歳の目撃情報による犯人の着衣(靴を含む)と『現場方向からJR湯河原駅に現れた人物で、事件について何らかの情報を持っていると考えられる』人物の着衣に若干違う点が認められ、2つの事件が同一犯の凶行だとしたならば犯人Xは、着替えなどを持ち歩き、着替えなどを「青色チェック柄の手提げ紙袋」「黒色リュックサック」に入れていたことも考えられる。

上記が犯罪(殺人など)のための用意だとしても「青色チェック柄の手提げ紙袋」「黒色リュックサック」は大掛かりな準備(荷物)だとも思われる。この大掛かりな準備(複数の衣類などを所持していたと想定した場合)の必要性は殺人などの犯罪のためだろうか?それとも少年院法の「七日以内の期間を定めて外泊する」のための準備だろうか?非常に気になる点である。

湯河原町女性放火殺人事件の犯人は?

これまでの考察の結果、「湯河原町女性放火殺人事件の犯人Xは、2019(令和1)年9月23日の未明に発生した茨城一家殺傷事件の岡庭由征被告の「可能性は非常に低い」と判断するのが自然だろう。

では、非常に残忍な湯河原町女性放火殺人事件は誰だろうか?JR「湯河原駅」に現れた人物が犯人だとした場合、同人物はJR「湯河原駅」から何処に向かい、何処に消えたのか?2015(平成27)年4月21日(火曜日)に湯河原町で発生した2つの事件が同一犯の犯行ならば、犯人Xは日本語を話す人物だ。日本国内に過去、現在の生活の痕跡がある筈だ。

繰り返しになるが、湯河原町女性放火殺人事件は非常に残忍な動機不明の事件である。犯人Xは、酒鬼薔薇聖斗や名古屋大学女子学生殺人事件の当時19歳女性や埼玉県内や千葉県内で通り魔殺人未遂事件を起こし、殺人未遂、放火などの重大事件により医療少年院への保護処分が決定した10代の頃の岡庭由征被告(2022年12月23日現在、茨城一家殺傷事件は裁判が行われていないため事実認定はなされていない)を連想させる。

犯人Xにも酒鬼薔薇聖斗や名古屋大学女子学生殺人事件の女性受刑者や岡庭由征被告と同様の嗜好や問題があるのだろう。

事件解決のため警察は捜査を続けている。事件の風化を抑えることも必要だろう。警察の捜査と社会の関心に期待したい。


◆参考文献
神奈川・湯河原の女性放火殺人 防犯カメラに玄関出る不審人物特定急ぐNHKニュース2015年4月22日付
湯河原放火殺人 犯行目的は依然不明 事件から1週間 現金入りポーチ残る中日新聞2015年4月28日付
神奈川女性殺害 火災前、近くで傷害事件 男逃走、関連を捜査 産経新聞2015年4月22日付
「殺して奪えばいい」女性殺害と関連捜査 神奈川県警 時事通信2015年4月22日付
湯河原放火殺人 犯行目的は依然不明 事件から1週間 現金入りポーチ残る 中日新聞 2015月4月28日付
湯河原殺人鬼と同じ男か 日刊スポーツ2015年4月23日付
神奈川県 湯河原町 鉄パイプ近くの公園で見つかる 凶器か NHKニュース2015年4月23日付
神奈川・湯河原の女性放火殺人 現場付近の歩道上に血痕か 関連捜査 NHKニュース 2015年4月22日付
神奈川 湯河原放火事件から2年 防犯カメラ映像の人物 使用切符見つからず NHKニュース2017年4月21日付
茨城一家殺傷、26歳起訴 刑事責任問えると判断 殺人罪など 朝日新聞 2021年9月18日
【真・治安論】第2部 塀の中 絶てぬ再犯(5)凶行の芽を摘む切り札は 産経新聞 2021年11月24日付


★独自視点の(未解決)事件考察

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貨幣・紙幣は国家の信用の上に成り立っている。特に国家による信用の裏付けのない紙幣は、単なる文字と絵が描かれた紙切れに過ぎない。1961(昭和36)年に最初の一枚が見つかった贋造紙幣「チ-37号」は、その精巧な造りから「贋造紙幣の最高傑作」、「最後の職人技」などと呼ばれ、1963(昭和38)年11月14日まで事件は続いた。国会でも取り上げられた「チ-37号事件」は、社会に大きな影響を与えた戦後の事件の一つでもある。警察は犯人検挙に向け異例の大規模捜査を行い、政府は新たな千円紙幣(伊藤博文像の紙幣)を発行し対応するが―...
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◆ご注意本記事は、1968(昭和43)年12月26日19時50分から27日9時40分の間に発生したロートレックの絵画『マルセル』盗難事件の事件概要及び経緯等の解説を目的とする記事です。1975(昭和50)年12月27日午前0時に時効が成立した同事件は、約一ヶ月後の1976(昭和51)年1月29日、盗難された『マルセル』が発見されるという特異な形で決着しました。本記事は『マルセル』を保管していた人物(A氏夫妻)や預けた人物(C氏)などを「犯人」、「容疑者」などと断定する記事ではありません。 また犯人考察を目的とするものでもありません。事...
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上智大学生のA氏(21歳)が殺害され、自宅が放火により全焼した未解決の殺人放火事件は、1996年9月9日(月曜日)の昼間、東京都葛飾区柴又の閑静な住宅街で発生した。この事件は、「柴又三丁目女子大生殺人放火事件」として、亀有署に特別捜査本部が設置された。現場からはA型の血液と男性のDNAが検出されており、捜査は四半世紀を超える今もなお続けられているが、解決には至っていない。本記事では、1996年9月9日に東京都葛飾区柴又で発生した女子大生殺害事件における犯人の潜在的な動機と犯人像について、利用可能な情報を基に推測...
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Jean-Baptiste Roquentin

Jean-Baptiste RoquentinはAlbert Camus(1913年11月7日-1960年1月4日)の名作『転落(La Chute)』(1956年)とJean-Paul Sartre(1905年6月21日-1980年4月15日)の名作『嘔吐(La Nausée)』(1938年)に登場するそれぞれの主人公の名前からです。 Jean-Baptiste には洗礼者ヨハネ、Roquentinには退役軍人の意味があるそうです。 小さな法人の代表。小さなNPO法人の監事。 分析、調査、メディア、社会学、政治思想、文学、歴史、サブカルなど。