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短編で描き出される「庵野秀明」の側面

★ご注意:この記事には、『DAICON FILM版 帰ってきたウルトラマン』『巨神兵東京に現わる』『よい子のれきしアニメ おおきなカブ(株)』のネタバレが含まれています。

庵野秀明さんは、アニメ『新世紀エヴァンゲリヲンシリーズ』、特撮実写映画『シン・ゴジラ』(2016.)、本年(2022年)公開された『シン・ウルトラマン』、2023年に公開予定の『シン・仮面ライダー』と話題に事欠かない日本を代表する映画監督です。

Amazonプライムビデオに、『シン・ウルトラマン』が配信されたことで「幻の作品」と言われた『DAICON FILM版 帰ってきたウルトラマン』も配信されました。

これを踏まえて、庵野秀明監督の作品から見えた「世界」「横顔」「側面」――そして、家族から見えた「庵野秀明」の姿を3つの「短編」をご紹介しながら考えてみたいと思います。

DAICON FILM版 帰ってきたウルトラマン

『DAICON FILM版 帰ってきたウルトラマン(『帰ってきたウルトラマン マットアロー1号発進命令』)』は、1980年代初頭に活動していた同人映画活動集団「DAICON FILM」制作の実写特撮映画でした。

庵野監督達の「DAICON FILM」は、アニメ会社「株式会社ガイナックス」の母体となる集団となります。

『DAICON FILM版 帰ってきたウルトラマン』の概要

「DAICON FILM」で本作が撮られる前に庵野さんたちは、既にウルトラマンの自主短編映画を2本撮っていました。

「そのウルトラマンが戻ってくる」意味合いをつけて、今回は「帰ってきたウルトラマン」と、タイトルが呼称されました。

総監督は庵野秀明、脚本は岡田斗司夫、そしてウルトラマン役が庵野秀明という、人間がウルトラマンを演じるという突飛なアイデアで、庵野監督の過去の作品がダイジェストで流れた時にはそればかりがフィーチャリングされ一人歩きしていましたが、今回、作品本編が公開されたことで非常に評判となっている一作となっています。

原作は、円谷プロダクションの『帰ってきたウルトラマン』をリスペクトした作品となっています。 28分という短い作品でありながら、コンピューターグラフィックを使った戦闘シーン、ミニ四駆や紙で作ったミニチュアを駆使して、庵野秀明という個性を既に開花させています。

『DAICON FILM版 帰ってきたウルトラマン』のあらすじ

穏やかな朝――宇宙からヒラツネ市に、隕石が落下しました。地球防衛隊「MAT」基地では既に隕石は地球に害を及ぼす怪獣だと分析していました。

案の定、隕石から3体の怪獣が登場し街を破壊しています。「MAT」はこれを宇宙人からの侵略行為だと断定し、マットジャイロとマット一号での迎撃を命令します。

隊員たちはマットジャイロとマット一号に乗り込み出動しますが、怪獣たちの予想できない動きに翻弄され、負傷者も出してしまいます。

そして3体の怪獣は合体し、強力な「バグジュエル」として生まれ変わり、強力なビーム砲でヒラツネ市は炎に包まれます。街には民間人も残っていましたが、隊長の判断でナパーム弾を投下、バグジュエルを壊滅させようとしましたが怪獣は生き残ったままでした。

ウルトラマンであることを隠しつつもMAT隊員として従事していたハヤカワ・ケン達MAT隊員は、「熱核兵器も使用やむなし」と決断を下した隊長に、反論し強い嫌悪感を露わにしましたが、隊長の決断に変更はありませんでした。

隊長の決断に反論したハヤカワは自宅に軟禁状態となりましたが――熱核兵器が落とされて怪獣とともに街が消えるまであと数刻と迫るなか――ついに、ウルトラアイ(眼鏡)を装着し、ウルトラマンに変身します。

ウルトラマンは、マット一号で出撃していた隊長を助け、熱核兵器を掴み上げ、怪獣バグジュエルと戦います。

怪獣の強固なバリアに苦戦しつつも、スペシウム光線とウルトラ光線で反撃、手にしたウルトラブレスレットでバリアを破壊するとスペシウム光線でとどめを刺し、バグジュエルは大爆発を起こし消滅しました。

カラータイマーが光る中、ウルトラマンは熱核兵器を持ち宇宙へと飛来していきました。その後、空で鈍い爆発の光が見えます。

みなで見守るMAT隊員。するといつのまにかハヤカワも地上に戻り、負傷者たちを支えつつ また地球を守る仕事に戻っていくのでした。

監督、主演を勤めた庵野秀明の最近配信された幻の作品

28分という短い作品『DAICON FILM版 帰ってきたウルトラマン』で描かれる平穏な日常の朝の風景――「行ってきます」と家から走っていく小学生、青空を仰ぐ電柱、はためく洗濯物―名もなき人々の営みと突然襲い掛かる正体不明の破壊者の構図は、庵野作品で繰り返し描かれるテーマです。

『エヴァンゲリオン』シリーズでも、『シン・ゴジラ』でも、最新作の『シン・ウルトラマン』でも、庵野監督作品に必ず描かれる大切なポイントの一つだと思います。

また、打つ手なしと判断した隊長の「熱核攻撃」への隊員たちの、特にハヤカワの反論は、『シン・ゴジラ』でも描かれています。

怪獣を倒した後、MATはお腹減ったと基地に戻ろうとしますが、ハヤカワだけは振り返ります。その視線の先には傷ついたヒラツカ市の残骸があります。壊すのは一瞬でも、直すのは時間がかかる。それでも人はきっと立ち上がる。スクラップアンドビルド、映画『シン・ゴジラ』でも赤坂​​内閣官房長官臨時代理が語っていました。

人の営みを描いたからこそ、人は弱いが強いものだと最後に見せてもらった気がします。

『巨神兵東京に現わる』

庵野監督は、1984年制作された宮崎駿原作・監督のスタジオジブリ作品『風の谷のナウシカ』のスタジオジブリのアニメーターとして参加しています。

庵野秀明氏が復活した巨神兵が起こした爆発部分を担当していたことは有名な話です。

スタジオジブリ制作の本作は『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』(2012年.)と同時公開とされ、庵野監督は、脚本を担当しています。

『巨神兵東京に現わる』の概要

もともと本作は、2012年に東京都現代美術館で行われた「館長 庵野秀明特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技」で公開された短編映画でした。

上記タイトルにもあるように、東京の町を限りなくミニチュアや特撮技術を利用して表現した作品です。

またCGは使わず、特撮技術とデジタル合成のみで作られました。その後、映画館で上映された『巨神兵、東京に現わる』は、エンディングの追加、映像の調整等が入り上演時間は9分3秒の作品として公開されました。

『巨神兵東京に現わる』のあらすじ

普段と何も変わりない、東京の朝――「私」のもとに長い間、音信不通だった弟が訪れ、「明日、この町は滅ぶよ」と告げます。何だか分からない私。何よりもいつもの弟ではない。

――あなた、誰なのよ?

弟は、「僕は”警告”だよ」「ごめんね、もうどうしようもないんだ」と、告げると消えてしまいます。

その頃、空にはいくつかの火花が散り、赤い火花は次第に束となり、何かに変貌していきました。

空を覆う異形のもの、空からの破壊神、人々は何が起きたか分からず携帯電話のカメラを向けていました。

地上に降り立った一体の巨人兵。口から破壊光線を吐き出し、東京の町は獄炎に包まれました。

「私」は、地下に潜り、いつかこの地上にきっと戻り、日常を取り戻すことを誓いながら地下を逃げ回り生きていましたが――地上では光の槍を持った巨神兵たちが地上に降り立ち、破壊光線を吐いていました。

全てを焼き尽くしたと言い伝えられる「火の七日間」始まりです。

かつて『風の谷のナウシカ』で描いた巨神兵を現代の東京に蘇らせた

『巨神兵東京に現わる』は、スタジオジブリの名作『風の谷のナウシカ』の「恐怖」「破壊」「死」「絶滅」「神」「悪魔」「説明のない」の存在「巨神兵」を現代の東京に蘇らせ、特撮というジャンルで表現した作品です。

名もなき人々の営みと突然襲い掛かる正体不明の破壊者の構図、日常に突然現れる理由不明な救いようのない絶望感が『巨神兵東京に現わる』でも描かれています。

また、庵野監督先品の魅力でもある丁寧に作られたミニチュア(ビル群、都会から離れた下町の風景、電柱、巨神兵を見上げる人々、吠える犬など)で再現された東京の風景が、巨神兵の容赦ない破壊光線により炎に包まれ大爆発が起こり破壊される様は視る者に恐怖を感じさせます。 空から翼を広げて飛来する巨神兵。光の槍を携えて歩く巨神兵。突然、現れた終末の神の裁き。聖書の「黙示録」に描かれる惨事を思い起こさせる「火の七日間」伝説の始まりは、本能的な恐怖を感じさせます。

スタジオカラー制作『よい子のれきしアニメ おおきなカブ(株)』

短編アニメ作品『よい子のれきしアニメ おおきなカブ(株)』は、2016年にラフォーレ原宿で開催された「スタジオカラー10周年記念展」で公開されました。

当初はカラー展でのみ上映されていましたが、その後、スタジオカラー公式YouTubeチャンネルで公開されています。

出典:よい子のれきしアニメ おおきなカブ(株) 株式会社カラー khara inc.officialチャンネル

『よい子のれきしアニメ おおきなカブ(株)』の概要

本作で描かれているキャラクターは、庵野監督の妻、漫画家の安野モヨ子さんです。もともとは、庵野監督(「カントク」)くんとの夫婦生活をコミカルに描いた安野モヨ子さん『監督不行届』(2005.)で描かれました。

『おおきなカブ(株)』は、カントクくん(庵野監督)と、ロンパース(安野モヨ子さん)が、新劇ヱヴァのために作った「スタジオカラー(「株式会社カラー」)」設立(2006年設立)から、『シン・ゴジラ』が生まれるまでを絵本風かつ抽象的に描いています。

声優は、「スタジオカラー」主催で行われた「日本アニメ(ーター)見本市」で全ての作品で声を担当した山寺宏一さん(カントクくん役)、林原めぐみさん(ロンパースさん)。どちらも新世紀エヴァンゲリオンをはじめとして庵野組ではお馴染みの方々です。 家族から見た、素顔の「庵野秀明」というかたちを、独特の目線で見守っている様子が短編ショートフィルムながら伝わります。

『よい子のれきしアニメ おおきなカブ(株)』のあらすじ

肉を食べず、魚も食べず、野菜もそれほど好きではないカントクくん。一緒に暮らすロンパースは日々、元気のないカントクくんを案じていました。

カントクくんは自分が食べたい野菜(作品)を作ろうと思い仲間と新しい畑を探し始め、ロンパースに新たな場所の「名前」を決めて欲しいと軽く頼みます。

ロンパースは必死に悩み抜いて「スタジオカラー(カラーはギリシャ語の「歓喜」が由来といわれる)」という名前を提案しました。

さて、それから本格的に新しくて広い良い畑(東京都杉並区内)を見つけたので、育ったカブを移し替えて、仲間もどんどん増え――「大きく育ったカブ」=2007年公開の映画『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』を抜きました。

その喜びを特に噛み締めることなく、カントクくんは次のカブの種を撒き始めます。そしてますます仲間も増え、大きく育ったカブをみんなで引っこ抜きました(2009年公開の映画『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』)

せっかく作品ができて、周りの仲間たちも喜んでいるのに、いつもそんなに喜んでいないように見える、むしろ寂しそうに見えるカントクを見守るロンパース。

そして2012年、特別大きなカブが抜けました(映画『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』)しかし、カントクくんはおおきなカブの下敷きになって重傷を負ってしまうのです。

ロンパースの献身的な看病がありましたが、特に食欲もなく畑にも行けなくなってしまいました。

そのうち、西の方から超おじいさん(宮崎駿監督)がカントクくんを呼び出し、1ヶ月、レンガ積みを手伝ってくれと言いました(2013年公開映画『風立ちぬ』の出演)

レンガ積みにより、鋭気を養って帰宅するかと思いきや、特に傷は変わりなく戻ってきました。そして少しだけ食欲が戻り、色々な現場を見てくると一人旅立っていったのです。

しばらくして戻ってきたカントクくん。しかし戻ったのはいつもの畑ではなく、お隣の畑違いの、しかしカントクくんが好きなカブでした。そこで新しいものを作り始めたのです。

2016年、真っ赤で強烈なカブ(映画『シン・ゴジラ』)が抜けました。

その時、はじめてロンパースはカントクくんが少し嬉しそうだったのを見つけて、嬉しくなったのです。そのあと、カントクくんは畑に立って、新しい種を撒くと宣言しました。

妻、安野モヨコだからこそ描けた「カントク」くん

漫画家、安野モヨコ(1971年生)さんには、『さくらん(2001.)』『ハッピー・マニア(1995.)』『働きマン(2004.)』など「強くしなやかな女性」「自立した女性」を描いた作品があります。

庵野監督との結婚生活を描いた『おおきなカブ(株)』や『監督不行届』は、異色な作品ですが、母親のようにゆっくりと庵野監督に寄り添い、趣味も楽しむ「ヲタ嫁」としてお互いを尊重しつつ共存して共栄している姿に一つの夫婦像を見るようです。

『おおきなカブ(株)』でもそれらは色濃く出ていて、ロンパースさんはカブを引っこ抜く手助けをしません。一緒に引き抜きません。ただ、少し遠くで発破かけ、応援する役目に徹しています。その姿勢が素敵で――お互い、働くジャンル(映画監督と漫画家)も違うからこそ介入しすぎないように、だからといって気にしすぎない距離感を保ちつつ――その距離感だからこそ、少し狡くて、可愛くて、すぐ拗ねて、下手な嘘つく、人間臭い「庵野秀明」を描けたのだと思います。 安野モヨコさんは、『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズなど庵野秀明監督が創り出す数々の作品の陰の功労者の一人だと言えそうです。


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あめこ

人間の淡い感情や日常を描く事が、得意な物書きです。 寝ても覚めても根っからの映画好きです。 戦後から最近までの国内外の映画、アニメ、ゲームなどサブカルが得意です。 特に三船敏郎、志村喬という往年の東宝俳優が昔から好きで、昔はファンブログも書き綴っていました。