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人が「狂気」に呑まれる様を見る!映画『シャイニング』の世界を考える

★ご注意:この記事には、映画『シャイニング』のネタバレが含まれています。

『2001年宇宙の旅』や『フルメタル・ジャケット』。『時計じかけのオレンジ(参考:『時計じかけのオレンジ』徹底解説と徹底考察)』や『博士の異常な愛情』。多くの人が一度は聞いたことのあるであろうこれらの作品は、映画監督スタンリー・キューブリックが手掛けた20世紀を代表する名作たちだ。

そして、そんなキューブリック監督作品の中でも抜群の人気を誇るのが、ホラー映画の古典として名高い『シャイニング』だ。映画そのものは見ていなくても、鬼気迫るジャック・ニコルソンが写るジャケット写真は知っている人が多いだろう。 今回の記事では、そんな映画『シャイニング』の世界について語っていこう。

映画『シャイニング』の作品概要

映画『シャイニング』は、1980年公開のホラー映画だ。名監督として知られるスタンリー・キューブリックがメガホンを取り、演技に定評のあるジャック・ニコルソンが主演を務めた。また、ダニー・ロイドの貴重な子役としての演技を見ることのできる作品の一つである。

出典:ワーナー ブラザース 公式チャンネル

今作は、冬の間雪で閉ざされるホテルの管理人とその家族を襲う恐怖を描いた作品だ。ホラー映画とは言え、その風景描写やホテル内のインテリアなどにはキィーブリックのセンスが感じられ、いくら見ても見飽きない。その上、じわじわと来る恐怖感が素晴らしい。

『シャイニング』の原作を書いたのは、ホラー小説の大家スティーヴン・キングだ。しかし、その内容は映画版と大きく異なっている。そのため、ファンの間でも賛否両論があるようだ。 この記事では、あくまで映画版の内容に基づいて考察を進めていく。原作小説に関してはほぼ触れないため、ご注意願いたい。

映画『シャイニング』あらすじ

舞台はコロラド州の山頂に佇む、オーバールックホテル。小説家(志望)のジャックは冬の間、管理人として家族を連れて住み込みで働くことになった。

冬のオーバールックホテルは、深い雪で閉ざされることになる。その密室状態は一種異様で、過去に管理人が家族を惨殺する事件が起こったほどだ。ジャックはその事実を支配人から知らされても何も思わない。むしろ、新作の構想を練り、執筆をするのにぴったりだと考えていた。しかし、彼の幼い息子であるダニーは、どうしようもない不安感を抱いていた。

ジャック一家がホテルに入る日が来た。ホテル内を案内され、ジャックと彼の妻・ウェンディは上機嫌だ。そしてダニーは、ホテルのキッチンでシェフのハロランと出会う。

ハロランは不思議な力を持っていた。それはダニーと同じ種類のもので、「シャイニング」と言われるものだと言う。ハロランはダニーに、「237号室に近づかないように」と忠告した。 ホテルの従業員たちは皆、山を下りて帰宅していった。とにかく広く静かなホテルの中で、恐ろしい現象がジャック一家を襲うことになる。

「わからない」からこそ怖くなる、映画『シャイニング』

映画版の『シャイニング』に特化して解説していくとは言え、映画版と原作版の違いに全く触れない、という訳にはいかないだろう。

今作は、映画版と原作では内容が大きく異なる。原作者のスティーヴン・キングが映画の内容に納得いかず、後々自身でドラマ版を監修したことはあまりにも有名だ。この逸話が示す通り、両者は全くの別物なのである。

小説と映画は、物語の筋こそある程度同一だ。しかし、原作では作中に登場する能力や現象がある程度説明されているのに比べ、映画版での説明はごくわずかに限られる。何せ、作品タイトルの「シャイニング」という能力の説明すら、映画ではほぼ無いに等しいのである。小説は理論的、映画は感覚的、という言葉が分かりやすいだろう。

勿論、映画版でも前後の文脈から意味を読み取ることはできる。「シャイニング」とは、予知や第六感を司る霊感のようなものなのだろう、といった具合だ。それでも、はっきりと理解することは難しい。

映画版『シャイニング』は恐ろしい。それでも、他のホラー映画のように音や視覚でびっくりさせるような仕掛けは少ない。ではなぜ、恐ろしいと感じるのだろう。

『シャイニング』の有名なシーンに、「エレベーターから血の洪水が襲ってくる」というものがある。これは一見すると、さして恐ろしいシーンとは言えないだろう。不気味ではあるものの「よくわからない」という感情が勝り、いかにも「びっくりさせよう」というシーンのインパクトに負けてしまうからだ。

しかし、『シャイニング』という映画の恐ろしさは、この「わからなさ」にある。人は正体を知っている猛獣よりも、姿を全く知らない化け物を恐れるものだ。何に襲われるか分からないからこそ、恐怖感は余計際立つ。

映画『ジョーズ』を考えてみよう。あの鮫が最初から姿を現していたら、あの作品は名作になっただろうか?

物語の細部の説明を読み、納得し、隅々まで理解するのは楽しいものだ。しかし、「わからない」という現象をそのまま受け取るのも楽しいものだ。作品によっては、「わからない」ことが作品への没入感を深めることに繋がるからだ。 映画『シャイニング』とは、正にそんな作品である。キューブリック作品を考察するのは魅力的だが、まずは、今作が持つ恐ろしさを充分に味わってからでも遅くはないだろう。

ジャックとダニーの見る世界

映画『シャイニング』の世界観を読み解こうとすると、少しの工夫が必要になる。今作も他のキューブリック作品と同じく、説明が少ない、もしくは、あったとしても暗示程度のものだからだ。

今作を読み解く工夫の一つは、登場人物であるジャックとダニーそれぞれが見る世界を考える、というものだ。

「登場人物が見る世界」という言葉を、少し怪訝に思うかもしれない。しかしこの2人は、作中で明確に異なる世界を見ているのだ。因みにウェンディも2人とは異なる世界を見ているが、彼女が認識できるのは、ごく一般的なものに過ぎない。

ジャックの見る世界

ジャックが見ている世界を考えてみよう。ジャックはオーバールックホテルで様々な現象に出会うが、それらはとても具体的だ。

ジャックにしか見えず、彼を良く知っていると思わしきバーテンダー。以前に家族を惨殺し、自殺したという前管理人のグレイディ。237号室にいる美女とそれが変貌した姿。これらがジャックに訪れた怪異の主だったものだ。

これらの怪異は、積極的にジャックに関わってくる。バーテンダーは彼に酒を提供するし、グレイディは汚してしまったジャックの服を拭きながら、子供や家族の「しつけ」について語りかける。そして237号の美女は、ジャックを誘惑しようとするのだ。

ジャックは物語が進むにつれ、どんどん狂気に呑まれていく。そんなジャックの変貌に、バーテンダーとグレイディが果たした役割は大きい。

しかし、ジャックは決して「幽霊に憑りつかれて」いる訳ではないだろう。彼の狂気の発露は、バーテンダーたちが誘導したものだとは言え、彼の自我を残したまま、「自分の意思で」家族を殺そうとしているからだ。ジャックの恐ろしい行動の根本は、彼の中にあると考えることができるだろう。

ジャックは物書きだ。何よりも、新作がなかなか書きあがらず、鬱屈している作家である。そして、知らず知らず家族に不満を抱いている。そして、お酒が飲めないことに強いストレスを抱いているようだ。

また物語の最後で、昔のオーバールックホテルを写した写真にジャックの姿を見ることができる。この写真を元に考えられる結論は、「ジャックがホテルの管理人として生まれ変わっている」というものだ。実際、今作をこのように考えている人は多い。

写真だけでこの考察を導き出すのは心もとない。しかし、上記の怪異たちの行動を踏まえれば、より真実味が増すだろう。「知っているから」より「具体的」なのだ。

「具体的」という部分に注目して、ダニーに話を移していこう。

ダニーの見る世界

ダニーはシャイニングという第六感を持っている。作中で描かれている限り、若干の予知能力とテレパシーのようなものを使っているのが分かるだろう。大量の血で溢れるエレベーターを見たのは彼であるし、「トニー」というイマジナリーフレンドと会話をしている様子も見ることができる。さらに、シェフのハロランとは超能力で会話もしていた。

ダニーのシャイニングは驚異的だ。しかし、ジャックのように具体的ではない。エレベーターのシーンも何か惨事が起こったことは分かるものの、詳細な内容は分からない。そして、彼の友人であるトニーは表に出ることはほとんどない。

つまり、ダニーはジャックと比べ、「抽象的な怪異の世界にいる」のだ。これは、ダニーがジャックと違い「知らない」からであり、「教えられている」からなのではないだろうか。だからこそ、ハロランに対し237号室の事を聞くのだろう。

しかし例外的に、ダニーにも具体的に見えるものがある。それが、グレイディに殺されたと思しき双子の少女だ。少女たちはことあるごとに、ダニーの前に姿を現す。

これは、ダニーと彼女たちの境遇が似ているからなのだろう。狂気に呑みこまれた父親に襲われるという悲劇。しかし、少女たちはダニーを救いたいとは考えていない。どちらかと言えば、「こちら側」に引き込もうとしているように思える。

子供は子供の世界を持っているものだ。それは、大人がどうこうできるものではない。ダニーと双子の少女は、強く引かれ合うのだろう。実際、ジャックは双子を見てはいない。そしてダニーも、バーテンダーとグレイディを見ていない。

ジャックとダニー、そして、ウェンディ。この3人の家族は同じ世界で生きているようでいて、全く別のものを見ている。それは、ホテルを訪れたときからより顕著になった。

これは、今作の見方の一つである。他にも色々な考え方ができるだろう。しかし、意外と間違ってはいないという自信もある。 多くの人に、今作『シャイニング』を見て欲しいと思う。そして、どんな思い、感想を抱いたかを聞かせて欲しい。人それぞれの感想や、考察を聞くのは楽しいものだ。

映画『シャイニング』まとめ

キューブリックの名作ホラー『シャイニング』について語ってきた。

スタンリー・キューブリック監督と言えば、有名ではあるものの、初心者が手を出しにくい監督の1人だ。『シャイニング』もまた、敬遠している人もいるだろう。しかし今作は、キューブリック作品の中でも面白く、娯楽的に楽しめる一面を持っている。

キューブリックの世界に、ジャック・ニコルソンの怪演に、今作を介して触れてみよう。新鮮な、映画を見る楽しみを味わうことができるはずだ。 個人的には、役名と俳優の名前が共通しているのも新鮮だと感じている。


参考・引用:映像(ワーナー・ブラザーズ公式HP「THE SHINING」)

★引用:衣装写真
Description: displayed at Stanley Kubrick: The Exhibit, TIFF, Canada.
Date:Taken on 25 January 2015, 14:58
SourceThe Shinning’s Grady Twins Dresses
Author:Carlos Pacheco from Toronto, Canada


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オオノギガリ

ココナラをメインに活動中のWebライターです。2017年より、クラウドソーシング上でwebライターとして活動しています。文章を読んで、書く。この行為が大好きで、本業にするため日々精進しています。〈得意分野〉映画解説・書評(主に、近現代小説:和洋問わず)・子育て記事・歴史解説記事etc……